言われたことしかしない若手社員が生まれたのは社会のせい!?

「根性論を振りかざす上司」は現実逃避、「言われたことしかしない若手社員」は傷つきたくないだけ!?職場を腐らせる人の真の姿に迫る_img0
 

さらに片田さんは、「言われたことしかしない若手社員」も「職場を腐らせる人」の一タイプとして挙げています。

指示されなければ何もせず、ぼうっとしている……こういった指示待ちタイプなら対処のしようがあると片田さんは説明しますが、やっかいなのは自己正当化に終始する社員だそうです。

「上司が『君が困ったら助けてもらうかもしれないのだから、お互い様だと思って、協力するのが同じ課の仲間だろう』と諭しても、『僕、ちゃんと結果出していますよね? 僕、何かおかしなこと言っていますか? そもそも、これは僕がやるべき仕事ですか?』と頑なに手伝おうとしない。それどころか、『できない奴の仕事を手伝っていたら、自分の仕事ができないじゃないですか。結局、優秀で真面目な人間にしわ寄せがくるじゃないですか。そんなの真っ平ごめんです』と怒り出す」

 

コンプライアンス意識が高まった現在は、こういう社員に厳しく注意するとパワハラで告発されかねません。上司としてはとても扱いづらいタイプだと思いますが、片田さんは最初に触れた「指示待ち」を含め、最近の若者によくみられる仕事観が生まれた背景について言及しています。

「まず、少子化の影響もあって、親や教師が子どもを大切にし、すべてお膳立てしてくれる環境で育ってきた。このような環境では、子どもが傷つくことも転ぶことも防ぐべく、周囲の大人は危険物を極力取り除き、危ないことは一切させないように配慮する。だから、子どもが自発的に何かをやる機会はどうしても限られる。せっかく子どもが自分から『~したい』という意思表示をしても、大人に『危ないからダメ』と却下されることもあるはずだ。必然的に受け身になりやすく、自主性も育ちにくい」

このほかにも、指示通りの行動を評価する学校の風潮や、効率性を重視する「コスパ」「タイパ」意識の高まり、日本経済の低迷による「頑張っても報われない」という思い込み、終身雇用や年功序列の崩壊による勤務先への帰属意識の希薄化などを挙げており、確かに納得せざるをえない部分もあるかと思われます。