もちろん私たちも、普通のフランス人が不動産探しに使っている、ル・ボンコワン(フリマサイト)に掲載されていた物件に挑んでみたことがある。「これは!」と思った物件のオーナーに速攻電話をし、なんとか内見を取り付けた。二人ともアジア人、かつフリーランスであることなどがデメリットにならないようにと考え、書類も色々用意して、一張羅を着て出かけたのだが……。

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外側から見るだけなら本当に美しいパリの街並みですが、中側は意外とドロドロしているのです……!

到着してみると、あれ? 次から次へと他の内見者も登場。みんな「旧知の中だったんですか?」と疑うほどに、フレンドリートークを炸裂させている。私たちはただ気後れし、なんとかスマイルで佇むのみ……。あとから友人に聞いたところ、良い物件の場合は、ゆうに100人を超える内見者が集まるのだとか。

そうなると当然、人間性だけでなく書類選考が重要になってくる訳なのだけれど、みんな書類の偽造も辞さないから厄介だ。そのための偽造書類制作会社も、各種存在するらしい。さらに通常は、家賃の3倍の収入を得ている証明ができるフランス人の保証人が必要だったりもする。なるほど、こうやってフランス人たちは不動産バトルを戦うのか……と、絶望的な気持ちになった(予想通りその家からは「残念ですが」のお断りメールが来た。)

一見、どうやっても勝つ見込みのない戦い。けれど私たちは、とってもラッキーな国に生まれているということを忘れてはいけない。「日本」という国のカードは、フランスにおいてはまれにジョーカーの如く、全てを覆す威力を発揮する時があるのだ。

 

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<書籍紹介>
『GOROGORO KITCHEN  
心満たされるパリの暮らし』

著:井筒麻三子  写真:Yas
定価:¥1980
講談社

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撮影/Yas
 


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