GOROGORO KITCHENのMamikoこと井筒麻三子さんの新しい連載がスタート! 最近引っ越すことに決めたMamikoさんが、パリでの家探しや新しい暮らし方を綴ります。

「パリで新しい暮らしを始めます!」お気に入りの我が家が窮屈になったワケ【Mamikoの住み替え備忘録】_img0
 

井筒 麻三子 Mamiko Izutsu
パリ在住ライター、エッセイスト。ハリウッドスターやデザイナー、歌手といったセレブリティのインタビューを中心に、パリに関する様々な記事を執筆。2020年より、パリでの日々の暮らしやレシピ、及びおすすめショップなどを紹介するYouTubeチャンネル『GOROGORO KITCHEN』を、フォトグラファーである夫Yasと共にスタート。2024年7月現在で、42万人の登録者を誇る人気チャンネルとなっている。著書に『GOROGORO KITCHEN 心満たされるパリの暮らし』(講談社)がある。
instagram:@mamigorota
X:@IzutsuMamiko

 

8年。その年月があれば、生まれたての赤ん坊だって元気に小学校へ通うほど大きくなっているだろうし、高校と大学を両方卒業することも可能だ(ちゃんとやる気があれば)。そう考えるとなかなかに長い年月なのだが、私が今のアパルトマンに住み始めてから現在まで、まさに約8年が過ぎた。そしてこれは、私が一つの家に住み続けた最長記録でもある。

パリで最初に住んだ家を見つけた先は、日本から見ていたインターネット上の不動産屋さんだった。フランスの滞在許可証申請のためには住む場所の提示が必要だったため、パリ到着前に住居を決めざるを得なかった。掲載されている写真を見比べ、あーだこーだと熟考を重ねる日々。もはや新しい部屋情報がUPされるや否や「これ新しい!」と瞬時に判断できるようなるまで、暇さえあればサイトをチェックしていた。そうまでして見つけた家は思っていた通り可愛く、1年ちょっと住んだ間ずっと自慢のタネだったくらい。大家さんがイケメンのナイスガイだったのもポイントが高かった。

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とても気に入っていた15区の家。小さくてもオスマン建築らしい、可愛いアパルトマンでした。

ではなぜ引っ越したのかといえば、端的に家賃が高かったから。パリで生活を始めてみると、お気に入りの我が家は相場よりだいぶ高め設定だということが判った。私のような、高めでも契約せざるを得ない人がたくさんいて、足元を見られていたんだろうな。このイケメンめ。まあでも、ほかに選択肢がなかったのだから仕方がない。

そういった経験を経て、次の家、そして現在の家は、フランス在住日本人の多くが利用している日本語掲示板サイトで見つけた。フランスでは不動産屋さんを通さずに個人で家のやり取りをしている人も多い。フランス版メルカリと言えるル・ボンコワンというサイトでは、賃貸借屋だけでなく、家の売買もされているほど。「家をフリマサイトで買うって、詐欺にでも遭わないのかしら……」と日本人的にはつい不安になってしまうが、フランス人の性格上、そのリスクがあったとしても、とにかく無駄な手数料を支払いたくないのだと思う。