2ヵ月ほど経っただろうか。ご飯を食べた後、バーに移動したところで、そろそろ聞いてみることにした。私は、是非またお付き合いしたいという気持ちになっています、アナタはどうですか、と。
彼は、言いにくそうに、答えた。楽しくないわけじゃないし、嫌いなわけじゃないけれど、やっぱりお付き合いは考えられないかも、と。楽しいのに? 嫌いじゃないのに? と聞き直すと、彼は言い淀んだ。
いずれにせよ今日で可否がはっきりするのだと察した。
「君はとても素敵な人だとは思う。けれど今の君は、20年前の君に、やっぱり勝てないんだ。僕はあの頃の君が、本当に好きだったんだ」
頭をハンマーで殴られたような衝撃だった。そう来るとは思わなかった。
40代になり、自分に興味を持ってくれる異性が減って、若い女性がライバルかもとは思っていたけれど、まさか、昔の、若い自分がライバルになるとは。時を超えた自分には、どう足掻いても勝てない。
時間は一方通行で、青春は戻らない。そうか、そうだよね。
その後、若い私のどんなところが唯一無二だったのか、
歳月を重ね、少しずつ、ものわかりの良い、
今できることは、胸を張ることだ。悪いことばかりではない。
そして、少なくとも、初恋のRくんと会う前の、自分を卑下した状態だからは脱していた。さらに、過去の「もしもあの時の彼と」的な迷いも、これですべて綺麗さっぱり、なくなった。完全なるゼロ地点だった。ある意味、自分、ここまでよくがんばった。
程なくして、夫と縁が生まれた。
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