こんにちは、エディターの昼田です。

2016年、一枚の服から始まった服捨て。ファッションエディターとして服を持っていて当然の人間が、こんなことをしていいのだろうか? 背徳感と未来への不安に襲われながらクローゼットに向き合った日々。前に進んでいるのか、進んでいないのか。思えばその状況が一番辛かったように思います。誰の答えも参考にしないと決めたからには、ひたすら自分の内側へと矢印を向けました。「なんでその服を持っているのか?」「なぜ捨てないのか?」。しつこいほどにすべての服に同じ質問を繰り返す。最初のうちは曖昧にしか答えられなかったものが、繰り返すほどに精度が上がり具体的になっていく。服をふるいにかける行為を通して、私は何がしたくて、何が必要で、何を大事にしたくて、この先どうなりたいのかが自然と見えてきたのです。

服捨てをきっかけに「自分の内側を見る習慣」を8年続けたら、どんな変化が起きた?【エディター昼田祥子】_img0
 

2019年、クローゼットはひとまずのゴールを迎えます。すっかり習慣化してしまった「内側の対話」は、あの日から今日までずっと続いています。やったって1円も入ってきません。だけど「習慣が人生を変える」という言葉が真実だとしたら、私は無意味にも思える些細なことを続けた8年間で、どんなふうに自分を進化させたのだろうか?

はからずしも「こんなに私、変わったんだ! 」と実感する機会が訪れました。それは広島・尾道で行われたSENNの瞑想イベントでのこと。

服捨てをきっかけに「自分の内側を見る習慣」を8年続けたら、どんな変化が起きた?【エディター昼田祥子】_img1
広島に一人で帰省。祖母や親戚が多く住んでいた尾道は、私にとっても思い出深い街。
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私が参加したのは、スキン&マインドケアブランド「SENN」が開催した「瞑想美容のすゝめ」というイベント。会場はインドの建築集団「スタジオ・ムンバイ」が手がけた話題の複合宿泊施設LOGにて。昭和30年代のアパートメントをリノベーションした空間は、どこを切り取っても絵になります。
服捨てをきっかけに「自分の内側を見る習慣」を8年続けたら、どんな変化が起きた?【エディター昼田祥子】_img3
 

瞑想といっても堅苦しいものではなく、ファシリテーターの問いかけに答える形で、いろんな角度から自分を見つめていきます。人生で手当てされた記憶は何ですか? 自分の魅力は何ですか? ノートに書き出すことで、もやがかかっていたものがはっきりする。そんなイメージでしょうか。

 

ドキリとしたのはこの質問。
あなたにとって必要なことはなんですか? 

服捨てをきっかけに「自分の内側を見る習慣」を8年続けたら、どんな変化が起きた?【エディター昼田祥子】_img4
 

直球の質問! つまり私が大事にしているものはなんですか? 譲れないものはなんですか? 今一番大切なものはなんですか? と聞かれているわけです。8年前の私なら「いや〜わからん! 」で済ませたと思います。そんな人のためにヒントになる言葉がたくさん用意されています。仕事、感謝、熱心、信頼、尊敬、現在、愛情……思いつくままにすべて書き出し、半分に絞り、そこから3つに絞っていけば、答えに辿り着きます。

でも今の私は……即座に答えが出ていて自分でもびっくりしました。

「睡眠・食事・休息」


家族でもお金でも服でもない、最も大事にしたいことがこれなんですよ。どれもフツーで当たり前のことだけど、何を差し置いてもこれ、という本気の選択なのです。なぜかって、100以上もあるやりたいことは肉体がなければ味わうことができず、その健全な肉体を維持するためには食事が大切。最適な睡眠時間を確保できれば、体を動かせるし、正常なメンタルを保つこともできる。そして私の場合は、積極的な休息の時間こそが、アイデアやインスピレーションといった創造性を発揮するためには不可欠。何もかもが繋がっているからこそ、何があれば自分をいい状態にもっていけるのか。全てはやりたいことがやれる人生のために、何を手放してはいけないのか。大事にしたいものを即答できる自分になっていることに、内面の進化を感じたのです。