—— 二次障害とはどういうものでしょうか?

生まれつきの障害ではなく、周囲の環境や関わりなどによってストレスがかかってしまい、現れる行動の状態のことです。双極性障害(躁うつ病)や、統合失調症、強度行動障害などを発症してしまうと、家族との同居も困難になってしまうので、二次障害を発生させないことはとても重要なんです。

—— 高等部の先の“学びの場”がある支援学校はどれくらいあるのでしょうか?

特別支援学校高等部の先に「専攻科」がついている学校は全国に10校ほど。都内にあるのは1校「私立特別支援学校旭出学園」です。

この旭出学園は、恩賜財団母子愛育会の研究所で学んだ先生が創設しており、娘が通っていた愛育学園ともご縁があるようでした。

学校の場所は東京都練馬区。自宅から1時間20分と、通学にはこれまでの倍の時間がかかります。渋滞で有名な道路を通らなければならず、通いきれるかが心配でしたが、その頃には娘もだいぶ体力がついていました。

そこで学校に問い合わせ、運動会の日に娘と一緒に見学に行くことにしたのです。

—— 普通の日の過ごし方ではなく、あえて運動会という行事を見学されることにしたのはどうしてですか?

運動会は外で行われます。初めてのことが苦手で、じっとしていられない娘ですが、開放的な校庭なら大丈夫かもしれないという思いもあったんです。

夫と娘と3人で訪ねましたが、私は運動会の様子を見て、なんて優しい学校なんだろうと、胸が熱くなりました。

—— 優しい学校、なぜそのように感じられたのですか?

たとえばリレー。子どもたちはそれぞれにリレーの参加を楽しんでいました。

バトンを受け取ると、しげしげとバトンを眺めている子。
隣を走り出した子がゴールするのを見守ってから走り出す子。
全力で走り出す子。
のんびり歩く子。

先生たちは無理強いすることもなく、それぞれの子に合わせた声かけや支援をし、それぞれの子がゴールするたびにリボンを張って、ゴールを切らせてくれていました。

—— その様子を想像するだけで、胸が温かくなりますね。

子どもたちが一斉に踊る時は、気づけば娘も混じって一緒に跳びはねていました。


後日、あらためて娘と学校を訪ねて、校舎の中を見せていただきました。