「地方じゃそんなことしてないけど東大にいく」


「ねえ、自分では必要ないと思っているのに低学年から席とりのために塾に入るなんて充分、ヤバい状況だよ。しかも低学年から行ったって、地頭がいい子にあっさりと抜かされがちだよね。そもそも、地方じゃ中学受験なんてしてないけど東大に行く子もいるし

この言葉に、どれほどしょんぼりしたでしょう。ががーん、という感じです。さまざま心当たりのある、罪悪感を刺激する要素が散りばめられている……。

その通り。月に数万円は決して安くありません。それなのに課金して、おまけに塾に行く必要なんてないんじゃ? と思っているなんて健全じゃない。

耳が痛い理由をさらに自問自答しました。こと中学受験において「地頭」を完全に否定することはできないと、私は30年前の実体験で知っています。早く塾に入れたからって、課金したからっていい結果が必ず出るは思っていません。ぜんぜん。

もちろん、正しい努力を積み重ねないと、どんなに素質があっても突破できないのが令和の中学受験。それは数年間の取材を通して痛感しました。

教育ライター中学受験伴走記②「中学受験してよかったと思える学校に合格させないと...」視野が狭くなった母の切実な望みがおそろしい!?_img0
 

でも個人的には、2年生から塾に行くことが、どちらかというとのんびり屋で受け身の息子の性格上、効果的だとも思っていませんでした。

誤解なきように申し上げると、「自分が本心ではそう思っているのに、通わせた」というところに引っかかっているだけです。2年生で通塾して、親子でしっかりコミットして成果を上げているお友達はたくさんいます。ただ、息子にはまだほかにやるべきことがあるような気がしていました。

なぜ私は、彼を2年生から塾に通わせたんだろう。何がそうさせるのか。

出遅れたくないという焦り? 自分が送迎の手間を減らしたいから、最寄りの塾に入れたいだけ? 

明らかに矛盾する行動をしている理由は、つきつめると、それが「最後は子どものためになる」と考えていたから。

唐突ですが、私は息子の中学受験を始めるときに、心に決めたことがあります。

この受験は子どもに「やらせている」ということを忘れないということです。