もしも、大学生のときに妊娠していることが分かったら。「親に心配をかけるのがいちばん嫌だから」「波風立てずに生活できたら」と言っている彼氏に、「子どもを産みたい」なんて言えただろうか。「一緒に育てよう」と言ってくれたとしても(というか、夏は絶対に言ってくれる人だからこそ)、本心ではどう思っているんだろう? と不安になるかもしれない。

これまでは、大好きな人だからこそ、ちゃんと話し合うべきだと思っていたけれど、水季の視点に立ってみると、大好きだからこそ言えなかったのかもしれないなぁって。

そして、大好きだからこそ、海にもパパのことをたくさん話してあげたかったんだと思います。「あなたのパパは、こんなに素敵な人なんだよ」と。

作中では、海に夏の話をするかどうかの葛藤は描かれていませんでした。でも、実は水季も悩んでいたような気がします。話すべきか、話さないべきか。そして、話すことを選択した。

もしかしたら、これも「他人に優しくなりすぎず、物分かりのいい人間を演じず、ちょっとズルをしてでも、自分で決めてください」という弥生からのメッセージに影響を受けたからこその選択だったのかもしれません。

水季は、“ちょっとズルをしてでも”、自分にとっての幸せを選んでいける人なんだと思います。他人を優先して、物分かりのいい人間を演じてしまうわたしからしたら、その姿があまりにも眩しくて、目を逸らしたくなって、ちょっとムカついて。でも、そんな生き方ができる水季のことが、心のどこかで羨ましかったのかもしれません。

歌詞が「登場人物の心情そのまま」と、主題歌も話題に。「海のはじまり」× back number「新しい恋人達に」スペシャルコラボムービー
 

 


水季のようになることはできないけれど、これからはもうちょっと自分の幸せを優先できるようになっていけたらいいな。そして、道に迷ったときは、“どちらの道が自分にとっての幸せか?”を考えられる人になっていきたいと思います。水季のおかげで、そんなふうに思える自分に出会えることができました。ありがとう、水季。ありがとう、『海のはじまり』!
 

『海のはじまり』水季(古川琴音)に全く共感できなかった私が、最終回を観て気づいた水季にしか分からない「不安と葛藤」_img0
 

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