ただその時点では、「リビングに置くなら、奥行きの浅い、重圧感のない食器棚がいい。色合いはニュートラルでリビングに馴染むもの」などと思いつつ、お皿の収納先に困り果てていたわけではなかった。この「欲しいものをはっきり思い浮かべられるけれど、今すぐ絶対的に必要なわけではない」という状態が、良いものを選ぶのには大事な気がする。

実際何度も「あら、この食器棚素敵ね」なんてアイテムに出会い、これはこれはと奥行きを見るものの、かなり幅があるのでしばし悩み、結局は購入には至らず ……。といったことを繰り返して、現在手持ちの食器棚に出会った。必要性に迫られていたら、途中で「このぐらい厚みがあってもまあいいかも」なんて、どこかで妥協していたかもしれない。

素敵だけれど新品より難しい「アンティーク家具」探し。これぞと思うものに出合う方法は?【フランス在住・井筒麻三子】_img0
新居に設置したお気に入りの食器棚の様子。大好きだと感じたものは、どんな場所に行っても変わらず美しいなと感じられるのだな〜と、改めて自己満足(笑)。

もちろん、新品ですぐ買えるものならば、そこまで待つ必要ないのでこの話は当てはまらない。でも、他の家で見たことがない、その人の家らしさを発揮する家具探しを考えている人には、有効なのではないかなと思う。

問題は、家具購入を考える際は大抵、もう収納が間に合わない! と片付けを急いでいたりする場合が多いこと。さらにアンティーク家具だと、前々から考えていたからといって、「これ!」というものになかなか出会えなかったりする。

それでもアンティーク家具に特化すれば、妥協した1点よりも、これを買えて本当に良かった! と感じる一点に巡り合うことの方が、心地よい暮らしにつながると思う。願いは声に出していくことが重要でもあるので、周りの人に「こういうのが欲しい」と伝えてみたり、とにかく全方位でアンテナを張り巡らせることが大切だ。

以前、スピリチュアルなことが好きな人から「夢は、その細部まではっきりと描くことができれば叶うんですよ」という話を聞いた。私は正直、全くもってスピマインドがない。それでも、その彼女の自信に満ちた言葉を聞いて、漠然としたものよりはっきりとイメージが掴めるものの方が、そこへ辿り着くための道筋も考えられるし、理にかなった話だなと思ったのを覚えている。そしてこれは家具探しでも同じこと。欲しい! と願い、具体的な姿まで描けるものならば、それはいつか出会えるような気がしている。

 

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<書籍紹介>
『GOROGORO KITCHEN  
心満たされるパリの暮らし』

著:井筒麻三子  写真:Yas
定価:¥1980
講談社

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撮影/Yas
 


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