ただその時点では、「リビングに置くなら、奥行きの浅い、重圧感のない食器棚がいい。色合いはニュートラルでリビングに馴染むもの」などと思いつつ、お皿の収納先に困り果てていたわけではなかった。この「欲しいものをはっきり思い浮かべられるけれど、今すぐ絶対的に必要なわけではない」という状態が、良いものを選ぶのには大事な気がする。
実際何度も「あら、この食器棚素敵ね」なんてアイテムに出会い、これはこれはと奥行きを見るものの、かなり幅があるのでしばし悩み、結局は購入には至らず ……。といったことを繰り返して、現在手持ちの食器棚に出会った。必要性に迫られていたら、途中で「このぐらい厚みがあってもまあいいかも」なんて、どこかで妥協していたかもしれない。
もちろん、新品ですぐ買えるものならば、そこまで待つ必要ないのでこの話は当てはまらない。でも、他の家で見たことがない、その人の家らしさを発揮する家具探しを考えている人には、有効なのではないかなと思う。
問題は、家具購入を考える際は大抵、もう収納が間に合わない! と片付けを急いでいたりする場合が多いこと。さらにアンティーク家具だと、前々から考えていたからといって、「これ!」というものになかなか出会えなかったりする。
それでもアンティーク家具に特化すれば、妥協した1点よりも、これを買えて本当に良かった! と感じる一点に巡り合うことの方が、心地よい暮らしにつながると思う。願いは声に出していくことが重要でもあるので、周りの人に「こういうのが欲しい」と伝えてみたり、とにかく全方位でアンテナを張り巡らせることが大切だ。
以前、スピリチュアルなことが好きな人から「夢は、その細部まではっきりと描くことができれば叶うんですよ」という話を聞いた。私は正直、全くもってスピマインドがない。それでも、その彼女の自信に満ちた言葉を聞いて、漠然としたものよりはっきりとイメージが掴めるものの方が、そこへ辿り着くための道筋も考えられるし、理にかなった話だなと思ったのを覚えている。そしてこれは家具探しでも同じこと。欲しい! と願い、具体的な姿まで描けるものならば、それはいつか出会えるような気がしている。
<書籍紹介>
『GOROGORO KITCHEN
心満たされるパリの暮らし』
著:井筒麻三子 写真:Yas
定価:¥1980
講談社
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パリで働く日本人Mamikoが、暮らしのvlogをYouTubeチャンネル「GOROGORO KITCHEN」でアップし始めたら、日本人だけでなく、世界中の人たち(現在チャンネル登録者数41万人)からの熱い支持が!
色や柄を自由に使った小さいけれど素敵な部屋、フランスの家庭料理も普通の和食も作る日々のおうちごはん、蚤の市でのお宝探し、農家からもらってきた2匹の猫……。
パリのおすすめレストランや、喜ばれるパリ土産もランキング形式でご紹介。
YouTubeでは語りきれない暮らしのコツや素顔のパリのエッセイを美しい写真と共にたっぷりとお届けします。
前回記事「「日本ってやっぱりすごい」前の家より広くなったのに、新居がまったく片付かない理由【フランス在住・井筒麻三子】」>>
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