2013年12月に「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されたのは、皆さんも周知のごとく。パリに住んでいる友人いわく、海外では空前の日本食ブームだそうです。普段何気なく口にしているご飯だけど、食材、調理法、栄養バランス、見た目等、世界に誇れる食文化ですよね。
でも、実際、自分たちが口にする食材がどこでつくられているか(捕れているか)なんて理解していないのも事実。もちろん、食材のラベルの裏を見ればわかりますが、そんなに意識して見ているわけでもないし。
そんなとき、興味深い勉強会に呼んでいただきました。
「日本食の大切さ」を発信し続ける人に出会ったのです。臼福本店の臼井壮太朗さん。宮城県気仙沼で明治15年から創業している漁業会社の5代目。2011年の東日本大震災後、東北のボランティアを通じて知り合いました。面倒見のいいおにーちゃんなので、気仙沼へ行くといろいろな方を紹介してくださいます。
臼井さんがここ数年、注力しているのが「食の大切さ」。「3.11で被災して思うのは、食の大切さだったんだよね。食に助けられこと、食に携わり続ける自分たちがその大切さを発信していかなきゃいけないんだ。これからの未来を生きる子どもたちのためにもさ」。

この日は臼井さんの漁業を通して、食の大切さを学ぶ勉強会「まぐろを楽しむ会」が開かれました。場所は麻布十番の魚可津(うおかつ)さん。食べることは好きだけど、食の知識は無いも等しい大人たちが50人ほど集まって、マグロ漁業の現状やマグロ漁について勉強します。

最後は、メインイベント「マグロの食べ比べ」です(笑)。東京の寿司屋で一貫ン千円の黒マグロやキハダマグロ、メバチマグロなどを一度に食べられるなんて……何て贅沢!

こうやって美味しい食材を食べられるのだって、漁師さんがいるからなんですよね。マグロ漁業って命がけなんですよ。一度、船が出ると帰ってくるのは10ヵ月半後。長い漁船の場合は15ヵ月にもなるそうです。その間、マグロが集まるポイントを追い続けるのです。雨の日も嵐の日も。マグロの国際機関もあり、年に一度、漁場毎に開催される国際会議もあるとか。

「黒マグロはもう食べられなくなるの?」「養殖マグロってどうなの?」「マグロを捕る方法は?」などといった質問が出てくると、船頭の小松正文さんが一つひとつ丁寧に答えてくれました。
「自分たちで捕ったマグロを自分たちで食す。地産地消の精神をもう一度、子どもたちに伝えていきたい。東京の有名シェフに協力してもらい、メカジキのメンチコロッケ、マグロのフリッターとかメニューを開発をして学校給食に普及させていくよ。授業を通して食の大切さを知り、食べてもらう。いつか東京の子どもたちにも食べてもらいたいな」と臼井さん。子ども以上に大人の私たちが知らなきゃいけない内容。大人たちがみんなで子どもに伝えていかなきゃいけないんですよね。
当たり前でしたが、臼井さんが持ってきてくれたマグロと養殖マグロの味の差は明白でした。目をつぶっていてもわかるんです。この味覚、この文化、忘れないようにしていかなきゃ、ですね。
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