当記事は、韓国ドラマライター・小澤サチエが、韓国芸能の魅力を語ります。
今、世界中でブームとなっている韓国コンテンツがあります。それはNetflixで配信されている料理系サバイバル番組『白と黒のスプーン~料理階級戦争~』。
普段は韓国コンテンツといえばドラマばかり観ている私ですが、当番組が韓国で社会現象を巻き起こしているらしい……と聞いて観たところ、これは確かにおもしろい! すっかりハマってしまいました。
白さじVS黒さじの階級を越えた料理対決!
『白と黒のスプーン~料理階級戦争~』は、料理の世界ですでに成功を収めたトップクラスのシェフ20人と、料理界ではまだ無名のシェフ80人が一堂に会し、階級を越えて料理の実力を競うというサバイバル番組。
番組の中では、有名シェフたちを「白さじ」、無名シェフを「黒さじ」と呼んで階級分けしています。
ちなみに韓国では、生まれながらに裕福な育ちである人を意味する“金のさじ”や、逆に貧困家庭に生まれ育った人を指す“土のさじ”という言葉があり、階級を表す意味で“さじ”という単語が使われており、当番組のコンセプトもそこから着想を得たものでしょう。
(そういえば2022年にヒットした韓国ドラマで、セレブ家庭の息子と貧困家庭の息子が入れ替わる『ゴールデンスプーン』(=金のさじ)というドラマがありました。)
白さじのシェフたちは、料理のジャンルはさまざまですが、大物シェフばかりが揃っています。ミシュランの星付きレストランのシェフや、「マスターシェフコリア」「スターシェフコリア」など有名料理サバイバル番組の優勝者たち、世界大会の優勝者、中国政府が認めた中華料理人、大統領が愛した和食料理人……など錚々たる顔ぶれ。
最初の登場シーンで、白さじの中で特に会場を沸かせたのが、イタリア料理専門のチェ・ヒョンソクシェフでした。韓国では超有名で、過去に料理サバイバル番組で審査員側で出演したことも。
そして黒さじシェフの方は、無名と言ってもすでに人気店のオーナーだったり、有名店でキャリアを積んだシェフや一流シェフの一番弟子なども含まれており、無名シェフというよりは「新進気鋭の料理人たち」と言った方がしっくりくるのかもしれません。
また黒さじシェフたちには非常にキャッチーなニックネームが付けられており、「ナポリマフィア」「料理する変人」「漫画男」「給食名人」など、覚えやすくてユニークなので、海外の視聴者たちにも親しみやすいです!
そんな白と黒のシェフたちが、地位もキャリアも知名度も関係なく、純粋に料理の実力だけで勝負に挑む番組ですが、この番組の影響で、韓国の飲食業界には異変が起こっているのだとか……!
特に黒さじシェフたちのお店の人気が沸騰中。予約が殺到し、大行列ができている店もあるそう。先日私がソウル旅行に行った際に、「キャッチテーブル」という飲食店予約アプリを使ったのですが、アプリの中に黒さじシェフや白さじシェフのお店を特集した予約ページもありました。
そもそも予約が全く取れないので今回の旅行で諦めたのですが、私は番組に出てきた「料理する変人」のお店に行ってみたくてウズウズ……。
また番組の中盤以降で、コンビニの食材を使った料理対決をするステージがあり、実在する韓国のコンビニエンスストアCUが登場します。そしてこのステージで出てきた料理のひとつ・栗のティラミスが旋風を巻き起こしている模様。材料に使われたクリームパンやクッキーの売り上げが急増しているのだとか。さらにCUは栗のティラミスの商品化に踏み切ったそうです。
- 1
- 2
Comment