—— 先生方のとても細やかな気遣いが感じられます。

旭出学園の先生たちは、愛育学園の先生たちと同じく、娘の好きなことを即座に見抜き、そこを突破口にして、少しずつできないことに挑戦させてくださいます。思春期を迎えた娘に合わせた道具の工夫や調整も絶妙で、的確なご助言をくださいます。

「お母さん、お嬢さんのスカートのホックはまだ自分では難しいので、自分で衣類の脱着ができるようになるようゴム製のキュロットタイプにしましょう。足をずっと閉じて電車に座っているのは難しいようです」

「お嬢さんのシャツはポロシャツタイプなら、ボタンを自分で留められそうです」

「リュックをもう少し大きなものにしてみましょう。自分で出し入れできると思います」

先生方の助言や、ちょっとした工夫で、娘はできなかったことがみるみるできるようになっていきました。

「好きな男の子」ができ、学校が楽しくて...。できることがどんどん増えていく旭出学園での成長【障がい児を育てながら働く⑱】_img0
秋晴れの空の下の運動会。大好きな担任の先生と一緒に、空手の型を披露して楽しむ娘。

実はそのころ、娘に初恋の男の子ができたのですが……。服のボタンを留める練習をするために、校長先生はその男の子の顔写真をつけた段ボールのハンガーをつくり、シャツを着せてくれました。娘は大好きな男の子の顔を見ながら、ボタンをつける練習を繰り返し、いつのまにかできるようになったのです。

そして、シャツをキュロットにしまうことができなかった娘が、気づいたらできるようになっていたんです。登校前に自ら、シャツの裾をギュッギュッとしまっている姿を見て驚きました。


——お話を伺えば伺うほど、娘さんにぴったりの中学校ですね。毎日楽しく通っていらっしゃる様子が目に浮かびます。

普段の学校生活はもちろんのこと、行事も工夫してくださっています。運動会では、真っ直ぐ走れない娘のために、先生がマイクで娘に「ゴールで○○君が待ってるよ~!」とアナウンスし、彼も立って「こっちだよお!」と手を振ってくれました。

娘は初めてゴールのテープを切ることができました。応援してくださっている親御さんたちも優しく見守ってくださり、心が温かくなりました。