女性が働く環境の改善。映画やドラマの制作現場でも重要の課題にあります。これをテーマに、俳優の菊地凛子さんと磯村勇斗さん、そしてNetflixプロデューサーの岡野真紀子さんが登壇したイベント「ウーマン・イン・モーション」で繰り広げられた対話は率直かつ誠実さに溢れていました。GUCCIやSAINT LAURENTなどを傘下に持つグローバル・ラグジュアリー・グループのケリングが東京国際映画祭公式プログラムとして11月1日に開催したイベントの内容をお届けします。
問題改善のカギは、互いの「リスペクト」の意識
今や日本の映像業界全体をリードする是枝裕和監督のオープニングスピーチから始まったトークイベント「ウーマン・イン・モーション」のテーマは、映画やドラマの現場で働く女性を取り巻く環境と問題。少々お堅い内容ですが、ハラスメント問題や働き方改革は役者も制作スタッフも今、語るべき話題。大事な話なのです。
国内外で活躍する菊地凛子さんの冒頭の言葉から説得力のあるものでした。「女性に限れば、出産や子育てがあり、また男女関係なく、人生の局面でキャリアがストップした後に戻れる場所があるかどうかなど、意識を持って会話していく必要があるように思います」
男性という立場で今回イベントに参加した磯村勇斗さんも問題意識を持っていることがわかる発言です。「俳優としてデビューした10年前より女性スタッフさんの数が増えていることを実感しています。女性が働きやすい環境について僕自身も学びたいですし、改善の声をもっと広げていくべきだと思っています」と、語っていました。
互いの立場を理解することが改善の一歩に繋がるのかもしれない。そんな思いでNetflixでは「リスペクト・トレーニング」という取り組みを日本の制作現場でも取り入れているそうです。新作シリーズ「さよならのつづき」などを手掛けるNetflixプロデューサーの岡野真紀子さん曰く、約1時間の講習のなかで役者からスタッフまで参加者全員でディスカッションしながら、講師の話を聞くのがリスペクト・トレーニング。ただし、それだけに終わりません。
「講習で学んで、それぞれが実感したことをどのように現場で実行していくかが大事。ですから、基本的には“リスペクト”の意識を持ったまま、現場に入っていくものになります」と、岡野さんが説明していました。緊迫した現場で「リスペクト!」という掛け声ひとつで雰囲気が変わることもあるとか。
このリスペクト・トレーニングの効果を「凄くいい取り組みです」と実感するのは磯村さん。「このトレーニングを受けていると、場が落ち着くように思います。ハラスメントに関しても互いにリスペクトの意識を持つことで現場は変わっていくのだろうとも思います」。
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