また女優だけがインティマシー・コーディネーターを求めているわけではないことを磯村さんは自身の経験談から語っていました。「全然できると思っても、ある場面で裸になった瞬間、“あれ、これって絶対おかしいな”って思った時があったんです。でも、インティマシー・コーディネーターの方が現場に入って寄り添ってお話ししてくださると、不安はどんどん減っていきます。ひとつ思うのは、男性のインティマシー・コーディネーターさんがいてもいいなと。同性同士の方が話しやすい時がありますからね」。
5年後、10年後、20年後の未来を意識して
率直な意見が交換されるなか、最後にテーマに触れたそれぞれの思いを改めて言葉にしていました。
磯村さんは「女性のサポートは、お互いの意識が必要だと思うんですよね。男性が一生懸命、頑張らなきゃいけない、ということではなくて、共存の考え方が大事だと思います。僕自身、これからも意識していきたいです。ハラスメントの問題や働き方について改めて考える場になったと思いました」と前向きに。
また菊池さんは「問題に向き合う時、的確な言葉を見つけて、それをなおかつ伝えていくような作業ってすごく大変なんじゃないかなと思うんですよ。時間も必要ですし、勇気も必要です。そんなに大きな一歩は踏めないかもしれませんが、こうした場をきっかけに皆さんも話して、1つ1つ意識していく。それが解決法としていいのかなと思いました」と、冷静かつ真摯に話していました。
岡野さんはプロデューサーとして「私たちの仕事って目の前のことに集中しがちです。でも、少しでもサステナブルな発想を持って、5年後、10年後、20年後にこの業界に入る皆さんのことも考えるような未来を意識して、サポート体制を考えていきたいと思います」と力強く伝えていました。
イベントを主催したケリングは、カメラの前と後ろで活躍する女性たちに光を当てることを目的に、2015年のカンヌ国際映画祭から公式プログラム「ウーマン・イン・モーション」を発足し、女性を取り巻く環境について語る場を作り続けています。東京国際映画祭での「ウーマン・イン・モーション」トークイベントは今回で4回目の開催。映画やドラマの業界に携わる人だけでなく、作品を楽しむ私たちにも響くメッセージがあったと思います。
構成/山崎 恵
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