50歳で介護福祉士、53歳でケアマネ、56歳で准看護師に!

トイレ介助は女優経験を活かして「壁のシミ」になる! ケアマネと女優のダブルワークを実践する、北原佐和子さんの声かけ術_img0
 

それから、50歳で介護福祉士、53歳でケアマネジャーの資格を取得しました。
所属していた事務所は退社し、個人事務所を設立しました。

そうして介護の仕事を続けていくうちに、在宅診療などで交わされる医師と看護師の専門的な会話がまったく理解できないことがもどかしくなり、「介護医療の分野にも関わっていきたい」と自然と思うようになっていました。

知り合いの医師から看護学校で学ぶことを勧められ、准看護師の資格を取るために養成学校に通い、56歳の春、卒業しました。

いやー、本当に勉強するのは大変でしたよ。苦労しましたが、「この痛みを乗り越えたら、成長した自分が待っている」とがんばりました。

 

「本音がポロリ」。興味を抱くきっかけになった入浴介助


最初に携わったのは、民家を改装した宅老所と呼ばれる介護施設でした。そこでは6名の高齢者が生活されていて、認知症の方もいらっしゃいました。自宅からデイサービスに通ってくる方々もおられました。

当時は何もかもが初めての経験。不安で胸がいっぱいです。そんな私ですから、当たり障りのない掃除や洗濯を優先していて……。入浴介助や夜勤といった大変な仕事からは逃げ回っていました。

ところが、あるときから、入浴介助が楽しみになったのです!

施設の浴室は家庭用のような小さな造りだったので、入浴はひとりずつ。着替えを含めて、時間はだいたい20分ほど。日中、フロアで仕事をしていると、何人も同時にお世話をするので、どうしても目先の作業に追われてしまいます。ところが入浴介助では、マンツーマン。20分間、ひとりの方にだけ、濃密に関われるチャンスでした。

温かいお湯に浸かると、心の緊張がじんわりほどけてくるのでしょう。たとえばデイサービスの利用者さんは、家の中でのちょっとした出来事を話してくださるのですね。

お嫁さんとケンカした。孫が肩をたたいてくれた。愛犬がかわいい。そんな飾り気のない本音をポツリポツリと語ってくれます。入浴介助の仕事は、相手としっかりと向き合える、かけがえのない時間なのだと気づきました。

そうした経験から、利用者さんに対して徐々に興味を抱くようになり、気負うことなくコミュニケーションできるようになっていきました。