世界最高峰の老年医学科で働く山田悠史医師が、脳の老化と認知症の進行を遅らせるために「本当に必要なこと」「まったく必要でないこと」を伝えます。
山田 悠史
米国内科・老年医学専門医。慶應義塾大学医学部を卒業後、日本全国の総合診療科で勤務。新型コロナ専門病棟等を経て、現在は、米国ニューヨークのマウントサイナイ医科大学老年医学科で高齢者診療に従事する。フジテレビ「ライブニュースα」レギュラーコメンテーター、「NewsPicks」公式コメンテーター(プロピッカー)。カンボジアではNPO法人APSARA総合診療医学会の常務理事として活動。著書に、『最高の老後 「死ぬまで元気」を実現する5つのM』、『健康の大疑問』(マガジンハウス)など。
X:@YujiY0402
Podcast:山田悠史「医者のいらないラジオ」
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テレビやインターネットでは、健康食品以上にサプリメントの宣伝が熱心に行われているかもしれません。「〇〇サプリで認知症予防!」というオンライン広告を目にする機会も少なくないでしょう。
実際、私たちにとって、将来認知症になるかならないかは大きな関心事ですし、家族や友人の中にも、サプリメントを試している人がいるかもしれません。でも、そのサプリ、本当に効果があるのでしょうか? 最新の研究をもとに、認知症予防に関するサプリメントの現状や課題について詳しく見ていきましょう。
オメガ3脂肪酸
認知症予防に効くと言われる代表格の一つが魚の脂かもしれません。魚に多く含まれる脂(オメガ3脂肪酸)は、脳の健康に良いと言われており、「魚を食べると頭が良くなる」なんていうセリフを耳にしたこともあるでしょう。実際、認知症予防の文脈でも研究が行われています。
例えば、フランスで行われた研究では、平均74歳の1,279人を17年間追跡調査しました。すると、血液中のオメガ3脂肪酸の濃度が高い人は、低い人と比べて認知症のリスクが低く、記憶に重要な脳の内側側頭葉という場所の萎縮が少ないことと相関関係があることがわかりました(参考文献1)。これは、オメガ3が脳の老化を防ぐ可能性を示唆する知見です。
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