大崎さんが実践していた認知症予防


そんな大崎さんと「認知症」をテーマにお話しさせていただいた時、真っ先に出てきたセリフがこれでした。
「私は90歳でひとり暮らしなので、一番怖いのが認知症なんです。ですから、自分なりに認知症予防にはいろいろと気を遣っています。」

これだけアクティブに活動をされている大崎さんも、認知症を恐れていたのだと思い知らされました。そんな大崎さんが、認知症予防に何をしているかと伺って一番に返ってきた答えがこれでした。
「私、週に1回は麻雀をしているんですよ」

ここにたくさんの認知症予防のヒントが詰まっているのでは、と医師として感じました。まずはそもそも新しいことでも臆せずチャレンジし、学ぶ姿勢。その学びを続けられる力。そして、好きこそ物の上手なれで優勝までされてしまったのです。

91歳で旅立ったインフルエンサー大崎博子さんに教わった、「頭を使う」ことの大切さ【山田悠史医師】_img0
写真:Shutterstock


頭をフル回転させる「麻雀」


麻雀が特別「最強の予防法」なのかを教えてくれる研究はありませんが、麻雀をしている間は頭をフル回転していたでしょうし、その傍、7卓の合計約30名とおしゃべりも楽しまれていたと教えてくれました。
 

 


麻雀のゲームを進めながら、同時に何人もの人と会話を楽しむというのは、とても高いレベルの知的活動だったと想像できます。認知症予防のためと始められたわけではないと思いますが、認知症予防にも役に立っていたのではと考えられます。

「勉強する人としない人の認知症リスク」について以前の記事でもお伝えしましたが、仕事や日常生活での認知的な刺激、つまり頭を使う活動が豊富である人は、認知症のリスクが低いことが知られています。一方、短期間だけいわゆる脳トレやパズルなどをやっただけでは、長期的な効果はあまり期待できないようです。日常生活の中でいかに継続的に知的な活動を行えるかが重要なのです。