前回の続きです。アメリカ在住のナンタケットバスケット作家、Lisa Yamaguchi先生にパースをお願いしてから、数か月が経ったある朝、ポロロンとMessengerが鳴りました。
美しいヘキサゴンのパース画像とともに、
「そろそろ編みあがるので、飾りを考えてね♫」
とのメッセージが。
数日後、またしてもMessengerがポロロンと鳴り、
「象牙問屋さんで、パースに似合いそうな素敵な貝を見つけたよ♥」と鹿の角をカービングした、ホワイト&グレーのホタテ貝の画像が送られてきました。
「こういう素材もあるんだ~。渋い! 素敵すぎる!」と夢は広がる一方でしたが、ナンタケット島にちなんで“海系オーナメント希望”とざっくり返信したところ、その数日後に添付されてきたのがこちらの15点の画像。Messengerがポロン♪ポロン♫と鳴きまくってました(笑)。
象牙問屋のご主人に「おいおい、本気で全部のっけてみる気かい?」と呆れられながらも、どのオーナメントも最適なバランスで、丁寧に仮置きしてから写メして送ってくれたLisa先生に感謝感激です。手間も時間も掛かっただろうに、ありがたや……♥
結局、目移りして決められず、親戚や友人に投票してもらった結果、満場一致で決まったのが「親子ヒトデ」。そうして、はるばる海を渡って届いた完成品がこちらです。
さてさて、こんな素敵なパースをつくってくれたLisa先生に聞きたかったこと、勝手にインタビューしちゃいました。
■師匠は誰なのですか?
「ナンタケット出身、ボストン郊外在住だった故老婦人。ナンタケットバスケットミュージアムはもちろん、スミソニアン博物館やホワイトハウスにも寄贈品があるナンタケットバスケット界のレジェンドです。当時1か月おきに5人しか生徒さんをとらないシステムのところを怒涛のごり押しで6席目をゲット。イレギュラーな新人でしたが、モノ作りの国、日本のプライドで持てる力を遺憾なく発揮して“リサは静かなるマエストロ。私の右腕”と呼んでいただくまで2年ほどでした」
■その難しさは?
「天然の素材なので、どうしても曲がっていたり、傷や色など防ぎようのないハプニングが製作過程でドンドン出てくることです。立体作品なので、いつも四方八方から見て、ずれてはいないか? 編み目は均一に美しく揃っているか? 確認しながら作業していくのでスピードアップはできないんです」
■では楽しさは?
「丁寧にすればするほど綺麗に仕上がり、自分自身はもちろん、オーダーされた方にとても喜んで頂けることです。手塩にかけて育てた子供や愛犬のような感じです。愛おしいですし、人に褒められれば誇らしいことこの上ないです」
■製作上のこだわりポイントは?
「よく聞かれるのですが、一番のこだわり、ポイントは<バランス>。これに終始します。どんなにきめ細かい編み目でも、高価な素材を使っていても、大きくても小さくても、美しいバランスを持っていないバスケットに私は全く興味が湧きません。置いた姿の全体のバランスがどの方向から見ても美しく、安定していて、心が落ち着く品格を持ったバスケットが毎回のゴールです。私はバスケット修業時代、2年を越えた頃には技術的に習うものがない段階まで来ていましたが、先生のバスケットの持つ絶妙なバランスには、未だ追いついていない気がしています」
深いわ……深すぎる。
やっぱり自分でも、編み編みがしてみたい!
ということでワンデーレッスンに特別参加をさせてもらうことにしました。 またもや、続きます。
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