もう先週のことになりますが、日本舞踊の会がありました。

演目にちなんだ「桜」と「雪」

衣裳をつけた古典の作品が大好きな私ですが、今回の2作品はちょっと趣向が違う作品…ひとつは「夫婦の愛」、もうひとつは「男女の愛」を描いたものでした。

山里住まいの夫婦(旦那さんがちょっとゆるい笑)に起きるある事件でしっかり者の奥さんに死ぬほど怒られ家を追い出される旦那さん。行方不明になり心配する奥さん、捜索の果てに見つかった旦那さん(すでに傷だらけ)の手には、奥さんのために危険を冒して山奥で手折ってきた桜の小枝が。。。奥さん感涙、やっぱりあなた大好きよ♡という夫婦愛のお話では、ああ、こういう夫婦っているよね、でもこうやって何回も同じようなことをしながら、でもずっと愛し合っていくのよね、としみじみ思いました。親と子の関係でもこういうことはありそうです。

舞台はがらっと一変し、雪がしんしん降り続く大阪はなにわの風景になります。往来には誰もいず、美しい女性がひとり道を急いでいます。雪に足を取られ、下駄の鼻緒が切れてしまい困っているところに一人の男性が通りかかります。私が鼻緒を直しましょうと申し出、女性は申し訳ないと恐縮しながら下駄を渡します。男性はどこかのお店の手代で、暮れの集金に急いでいる途中のようです。直した下駄を女性に渡すと、その女性は昔の恋人!恋は叶わなかったけれど、あの思い出の可愛らしい彼女!!と気づき、今が幸せではなさそうな姿(こんな暮れの雪の中思い詰めたように一人で?お金の工面?夫婦の不和?)を見て「もう一度だけ、あの頃のように」と懇願します。女性も楽しかった時を思い出し、心が動きそうになるのを堪え必死で振り切ります。吹雪になった雪の道を女性は逃げるように去っていきます。その後ろ姿に男性はどうかお幸せにと願い、そこで幕がおります。
美しい日本画のような風景が今も脳裏に焼き付いています。どうして思い出はきれいで楽しいのでしょう。。。思い出の引き出しを開けてしまったような気持ちになりました。

この日のきものです。薄いピンクにさりげなく霞のような模様が(本当に控えめに)入っています。無地感覚でとても便利な一枚です。

情感を大切にしたい。感じる・伝える・受け取ることの意義を深く思った舞台でした。