こんにちは、編集・川端です。
SMAPの曲を流しながら年賀状を書こうと思っていたのですが、それぞれの曲に思い出や懐かしい顔が浮かんで、まったく集中できません(汗)青春のすべてと社会人になってからの毎年を網羅できるSMAPの曲たち。25年間ポピュラーでい続けるってすごいことですね。

からの〜小さな話になって恐縮ですが、私の2016年のベストブック、トップ3を発表いたします!

第3位は、柚月裕子さんの『慈雨』

16年前に起きた幼女殺害事件に酷似した事件が発生。16年前の事件はすでに犯人が自供して捕まっている。事件を担当した元刑事は、タイア後、妻と四国八十八ヶ所お遍路を巡っている途中に幼女殺害の事件を知り、過去の事件との関連性に気づきます。16年前の事件は冤罪だったのではと疑いを持ち……。

警察小説好きのわたくし。正直、警察内部のいざこざや事件の真相の奥行きはやや物足りないのですが、定年後も現役感を捨てきれない夫とそれを認める妻の関係の機微をこれほど丁寧に描いた警察小説はあまり読んだことがありません。自分にお遍路の知識があればさらに楽しめたかなと思いました。

柚月裕子さんはこの本で初めて知りました。読みたい作家さんが増えるのはよろこばしきこと、と3位に入れたいと思います!

さて、第2位は、今年刊行の本ではありませんが、辻村深月さんの『朝が来る』を挙げたいと思います。今年読んでもっとも泣いた本です。

養子縁組で子どもを持ち育てている主人公。ある日「子どもの返してくれ」という電話がかかってきて……。あらすじと紹介文は前回のブログに

この小説の特筆すべきところは、主人公と血の繋がっていない子どもとの家族の物語が主題なのかと思いきや、最後にピンスポットが当たるのは、子どもを手放さなくてはならなくなった若き生みの親(少女)の方にある、というところです。

泣きドコロはいっぱいありますが、暗いだけではない未来あるラストが何より素晴らしいです!! タイトルに込められた意味を知り、また涙……。

さあ、お待たせしました。私のベストブック2016、

第1位は、井上荒野さんの最新刊『綴られる愛人』です‼︎

文通仲介の「綴り人の会」に入会し、文通する凜子とクモオ。凛子は28歳で夫からDVを受けている専業主婦、クモオは35歳で貿易会社のエリートサラリーマンと自称しているが、実際には、売れっ子の女流小説家35歳の天谷柚(あまがいゆう)と、富山に住む21歳の大学生・森航大だ。 

読み手にはそれぞれの“偽り”はすぐ知らされます。

実際にはDVは受けていない凛子(柚)なのですが、編集者で夫の真哉(しんや)は作家である妻・柚をコントロールし、支配的に振る舞う典型的なモラハラ夫。凛子(柚)は、文通相手のクモオにDV夫を殺害してくれ、と持ちかけます。

あらすじを先に読んだ私の予想はこうです。

文通により愛を育んだ二人は、夫を殺し、そして年の差を乗り越えて結ばれる……。

でも、井上荒野さんはその予想の斜め上を行きます。

35歳の女流作家の柚は、クモオの文面の一語一句に一喜一憂しながらも、どこか冷静です。彼の経歴はきっと嘘だ、文章に現れる彼の幼さに気づきながらも、殺人依頼を吹っかけるのです。会ったこともない女性のために、彼は一線を超えてしまうのか……。

自分が送った文章を読み返せるメールやLINEと違って、手紙って自分が送った文は(コピーを取らない限り)手元には残らないんですね。相手の一文一文が自分のどの文言への返しなのか。手紙のラリーが続くこの本、一語一句読み飛ばせない中身の濃い1冊です。ぜひゆっくりと楽しんでください。

ふー、3回に分けたのにとても長くなってしまいました(汗)。
最後までお読み頂きありがとうございます!

読書は孤独な行為だけれど、ミモレを通じて“本読み”の大人の友だちができたような、文通のような交流ができて嬉しかったです。本を読む楽しみがすごく広がりました! 

暴飲暴食が続いたので久しぶりに走りに行きました。吐く息が白い。お正月は箱根駅伝を見るのを何より楽しみにしています!

みなさまどうぞ良いお年を〜〜。

ではではまた!