2017年初めての歌舞伎鑑賞は市川右團次丈、右近丈の襲名披露公演です!

親子でご襲名!ご立派です!

お正月…新春特有の華やかさがあり、加えておめでたい襲名が重なって劇場全体がぴかぴかしていました(笑)夜の部の約4時間、しっかり堪能させていただきました。

劇場の入り口もとても華やかでした。

満席の新橋演舞場は最後までずっと観劇されていた方がほとんどでした。アクション満載の演目、襲名披露口上など、とても楽しく拝見しました。特に猿之助さんが老女を、右團次さんが僧(阿闍梨)を演じられた澤瀉屋のお家の歌舞伎舞踊「黒塚」は見応えがありました。

慶應出身の右團次さんの幕は三田会のご有志からのものでした。

老女が一人寂しくすすきの茂る野原の侘家に住んでいます。その老女の元に修行中の僧一行が一晩宿を借りたいと訪ねます。話をしているうちに打ち解けて、自分が過去に犯した罪も仏様によって救われると心が晴れた老女は、彼らをもてなすために山へ薪を取りに出かけます。「絶対に閨の内は見ないでください」という一言を残して。
僧の教えにより純粋な心を取り戻した老女は、月明かりの下で童女のように踊ります。でも実は…この老女はかつて受けた裏切りにより鬼に姿を変えてしまっていたのです。「見ないでほしい閨の内」には人骨が散らばり、あたりは血の海。秘密を知られたと悟った老女は鬼と化し彼らを襲おうとしますが、僧たちの法力により姿を消してしまいます。
見終わったあと、あの老女の嫉妬や憎しみの苦しさは幾ばくのものだったのだろうと考えてしまいました。そして「見ないで、と言われたら余計に見たくなる」のせりふ。誰の心にも住んでいる”鬼”の部分をクローズアップすることでリアリティが増していました。知らなくても良いこと、知っていても口にしないこと、現代の生活にも通じる心の描写が響いた夜でした。