初めてルーブル美術館を訪れた学生時代、時差ボケでドラクロワの『民衆を率いる自由の女神』前の椅子でリュックを抱えたまま約1時間爆睡してしまった編集部・大森です。

ルーブル美術館の宗教画方面への興味があまりない私ですが、今回は日常を描いた風俗画(家事にいそしむ召使い、物乞いの少年、食卓につく農民の家族……)のコレクション。さらに、フェルメールの傑作「天文学者」が初来日ということで、久しぶりの国立新美術館へ。ルーベンス、ドラクロワ、ミレーなど、時代と地域を超えたコレクションは、さすがルーブルとうならざるを得ないものでありました(それにしても、すごい人、人、人! 「天文学者」前はかなりの大渋滞ぶり……。もし、お時間が許すのであれば、平日のオープン直後に行かれることをオススメいたします)

ヨハネス・フェルメール 「天文学者」 1668年 油彩/カンヴァス 51×45 cm  Photo © RMN-Grand Palais (musée du Louvre) / René-Gabriel Ojéda / distributed by AMF – DNPartcom

そして、うなったそのままの勢いで、国立新美術館から徒歩5分のサントリー美術館へ移動。

こちらは、与謝蕪村と伊藤若冲の展覧会です。この展覧会タイトルで分かる通り、なんと、天才絵師、蕪村と若冲は同じ生まれ年(=1716年)だった! 晩年は、京都の四条烏丸のご近所さん同士だった時期も(交友関係がある資料は発見されていないようですが、共通の知人との交流はアリ)!  それだけでなんだかワクワクしてしまいます(別に歴女なわけではないのですが、そういうエピソードにそこはかとないロマンを感じてしまう質なのです)。個人的には、以前から実物が観たかった若冲の「象と鯨の屏風絵」と「野菜の涅槃図」が観られて感無量でした。

生誕三百年 同い年の天才絵師 若冲と蕪村@サントリー美術館 ~5月10日まで。
象と鯨図屏風 伊藤若冲筆 六曲一双 寛政9年(1797) MIHO MUSEUM蔵

一見、まったく違う性質の展覧会のようですが、17〜18世紀当時のヨーロッパと日本の“風俗”や“空気感”をどっぷり体感できる2つの展覧会。私の脳内では一本の線でつながっている六本木のアートツアーだったのでした。