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料理は3分でできるもので十分

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自宅にある調味料はコンパクトなバスケットにまとめて収納。ドミニックさんはこのように、常時使う生活必需品をキットとして一つにまとめています。たとえば、掃除キット、洗面道具キットなど。入りきらなければモノを減らすきっかけにもなるのです。

女性というのはとても忙しいものです。家事をしたり仕事をしたり、見た目を綺麗にもしなくてはなりませんし。とくに結婚していたら、家族のための料理に多大な時間を費やしているのではないでしょうか。

私は料理に関しては、「3分」と決めています。持っている調理器具はフライパン一つ。そこに食材を放り込んで蓋をする、これだけです。調味料もシンプルです。一番よく使うのは、粗塩、レモン、オリーブオイル、パルメザンチーズ、ごまダレ。そしてバスケットに入れた、醬油やサラダオイルといった基本の調味料のみです。凝ったものを食べたければ、そのときは外に行けばいい、という考え方なんです。

メニューもあれこれ考えません。月曜は野菜炒め、火曜はカレー、といったようにルーティーン化してしまえば、「今日は何を作ろうかな」と悩む時間がなくなりますから。そうやって簡略化することでできた時間は、家族とゆっくり過ごすことに使ったほうがいいと思うのです。2時間かけて料理を作るより、2時間子供と過ごしたほうが、絶対に幸福度が高いはず。

ただ、料理の素材にはこだわっています。多くの時間をかけなくても、その中でできる最高を探すことは大事だと思うのです。たとえば私はご飯と梅干しだけのシンプルな食卓だとしても、美味しいお米と梅干しを探すことはします。そして、誰とどんなふうに食べるかもとても大切。音楽を聴きながらガブッとかぶりつく新鮮なトマトなんて、最高でしょう? 子供には食卓のルールばかり教えないで、そんな幸せも教えてほしいと思うのです。


ドミニック・ローホー
著述家。フランス生まれ。ソルボンヌ大学で修士号を取得し、イギリス、アメリカ、日本の大学で教鞭を取る。様々な国に移り住む中で、モノを持たず豊かに暮らす「シンプルライフ」を確立。それを本にまとめた『シンプルに生きる』(講談社+α文庫)がベストセラーに。他に『シンプルリスト』『99の持ちもので、シンプルに心かるく生きる』(ともに講談社)など著書多数。また禅寺や墨絵を通して日本の精神文化に理解が深いことでも知られる。


〜次回は「重荷になっている人間関係は「透明人間」で乗り切る」 6月27日公開予定です〜

第一回「完璧主義ではなく快楽主義を目指す」はこちら>>
第二回「良いものは高いものとは限らない」はこちら>>
第三回「「少ない」「小さい」は快適だと知る」はこちら>>
第四回「「ノーセカンドチョイス」と「ワンアクション」が豊かな時間を生む」はこちら>>
第五回「バードウォッチングならぬバッグウォッチング」はこちら>>

第六回「五感を磨く」はこちら>>
第七回「ルール化することでムダを省く」はこちら>>

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取材・文/山本奈緒子 写真/ドミニック・ローホー 構成/大森葉子(編集部)