こんにちは、ミモレの川端です。
前回の突然の一人旅の道中で夢中になって読んだ本をご紹介します。

柚木さんファンの中では、『ランチのアッコちゃん』みたいなコメディタッチな白柚木と、『ナイルパーチの女子会』みたいなどろっとした部分を描いた黒柚木、それぞれを愛する宗派はいるようなのですが、私は『ナイルパーチ〜』的な黒柚木派です。

あ、話を戻して、『さらさら流る』です。
主人公の菫(すみれ)は広報部に所属する28歳、大学時代の恋人に撮影を許したヌード写真が、ネットにアップされていることを偶然発見します。
話題の「リベンジポルノ」というやつなのでしょうか。
物語は、その元恋人と仲が深まるきっかけとなった大学の飲み会のシーンから、写真が見つかった現在が行ったり来たりします。
元恋人の「東京もこのあたりは昔は川が通ってたんだよ」という土地ウンチクの長い説明。これに退屈する人は、リベンジポルノみたいなめにあわないかもしれない。でも、自分が酔ってて、相手にうっすら好意があったら「へえ〜」って聞いちゃうかもしれない。
そんなリアルと緊張感が満ちています。誰でもそういう危険がある時代。有名人じゃなくても。

自分にとっては死にたいくらい恥ずかしい出来事も、世間や他人は(もしかしたら近しい人でも)、少し時間が経てばそんなに深く心に刻まれてはいないないもの。全てのことは「さらさら流る」ですね。
いったい誰が写真を流出させたのか、というミステリーで引っ張りつつも、主題は、そいういうことから再起する主人公にあります。
心を立て直すきっかけとなる女友達との関係性の描かれ方もとても良いです。
ひとり旅の時間も含めて、自分の大切なものを見つめ直すいい時間になりました。
黒柚木好きの方はぜひ。
instagramの本紹介アカウント@batayomuもよかったらのぞいてくださいね。
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