“当たり前”をちょっとだけ広げるエンターテインメント番組『阿佐ヶ谷アパートメント』。阿佐ヶ谷姉妹が大家をつとめるアパートには、性別も年齢も属性もバラバラの実に個性的で多様な住人が集まり、ちょっとゆるくて笑えるトークを繰り広げます。まだまだ日本のバラエティー番組では、病気や障害のある人が自然に出演する機会は非常に少ないですが、『阿佐ヶ谷アパートメント』にはそうした人も出演しています。変に気を遣ったりすることもなく、同じ人間として対等に接する、そんな姿勢が『阿佐ヶ谷アパートメント』では貫かれています。『阿佐ヶ谷アパートメント』全体を包む、フラットな空気感、デコボコな人たちが調和する心地よさ。それを作り出す秘訣は何なのか。制作統括の真野修一さん、細川啓介さんにお話を伺いました。
阿佐ヶ谷姉妹のいろんな人を受け止められる柔らかさ
ーー『阿佐ヶ谷アパートメント』が始まったきっかけは何だったんでしょうか。
真野修一さん(以下、真野):4年ほど前にいろんな新しい番組を作っていこうという動きがあって、その中の一つとして「多様性」を打ち出したエンターテイメント番組を作れないかという話があり、みんなでブレストして作り上げました。私は普段は『ハートネットTV』とか、以前は『バリバラ』など、福祉番組に携わっています。『阿佐ヶ谷アパートメント』はいわゆる福祉番組ではない形で、ダイバーシティーとか多様性を打ち出さずとも、観て楽しんでいるうちに、そういったテーマに親しめるような番組が作れないかということで、生み出した番組です。
ーー阿佐ヶ谷姉妹さんをメインにキャスティングした理由は何だったんでしょうか。
真野:当時、ちょうど阿佐ヶ谷姉妹さんのエッセイが原作のドラマ『阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし』が人気を博していた時期で、実は、姉妹が「夢は大家」って言っていたんですよ。
この番組は「違いを楽しもう」っていうことをコンセプトにしているんですが、同じものを見ても、人によって感じ方も視点も違うし、そういう違いを楽しんでいこうって言ったときに、それを画面上でも表現するために、アパートの部屋でいろんな違いのある人たちに喋ってもらうというカタチになりました。そのコンセプトを最初に作ったときに、ご本人たちが「夢は大家」って言っていたことと、女性MCにしたいという思いもあり、阿佐ヶ谷姉妹さんがうって付けなんじゃないかとなったのです。阿佐ヶ谷姉妹さんはいい意味で力が抜けていて、強く主張をしたりするわけでもなく、いろんな人を受け止められる柔らかさと、面白さ、自然体であるっていうことがすごくいいなと思って、お願いをしました。
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