12月9日。10月からスタートしたミモレ大学も今日が最終回。多彩なゲストを招いて、ファッションとビジネスを通じてこれからの人生をどのように歩んでいくのかを考える“学び”の場。最終回は、ミモレ編集部の大草直子編集長に「おしゃれから始まるキャリアデザイン」についてお話いただきました。

 


キャリアデザインの前にやるべきこと


「キャリアデザインを語るうえで、皆さんに宿題を出させていただきました」と大草編集長の一言で授業がスタート。
今回の宿題は「あなたのキャリア人生を教えてください」。

「ほとんどの人は自分史をつくるなんてこと、しないと思います。でも、こうやって書き出してみると、経歴やキャリアを客観点に知ることができる。傾向と対策も見えてくるんですよね」と大草さん。45年間の大草編集長の自分史を紹介いただきました。
「書いてみて気づいたのですが、私の場合5年毎に“転機”が訪れているんです」と大草編集長。中・高校生のとき、白×紺の制服が大のお気に入りだったということ。高校留学や大学生活、就職活動を経て編集者になるまでの道のりも大草編集長らしいエピソードがたくさん。

「私の人生を変えた“ヴァンテーヌ”との出合い、フリーランスになってから10年間続けた“グラツィア”での仕事は、私のキャリア人生に欠かせないものです」。誰よりも目標がはっきりしていたこと、目標を達成するための手段に努力を惜しまない姿は昔も今も変わらない。人に歴史あり、というのは本当ですね。


42歳で“ミモレ”の編集長に


「ファッションディレクターとしてキャリアを重ねていく中で、またもや転機が訪れます。講談社から初のWebマガジン『ミモレ』の編集長のオファーでした。Webに強いわけでもないのにWebマガジンの編集長をナゼ引き受けたのか?って、その当時、みんなに聞かれたのですが、 講談社の方と話をしていたとき、“あなたの好きなように読者像をつくっていいですよ”ということをおっしゃっていただきました。それで引き受けよう、と決断したんです。これからは人生100年の時代。編集者として若い世代の人生を応援することはしてきましたが、50代、60代の婦人を応援する媒体はまだまだ少ない。ならば、私たち自身で切り拓いていきたい。それならできるだろう、と」(大草編集長)

 

「5年後、10年後の自分は何をしているのか、何をしたいと思っているかを考えてください。それも“具体的に”というのが大事。答えはひとつではないかもしれません。でも、考えること。それに向かって何をどうしたらいいのか、を自問自答してみてください。これがキャリアアップデザインの始めの一歩です」とアドバイス。

さらに「会社勤めをしている方は60歳が定年ですよね。仕事のピークは40代といわれています。でも、100年人生で考えると、早すぎます。楽しく、永く仕事を続けるためには、そのピークをできるだけ先に延ばしたほうが良いと感じています。ならば、今までできなかった新しいことにも挑戦し、スキルと経験を武器にして60代でピークを迎えるのもアリなのでは?」と大草編集長。
そのためにご自身の経験をもとにした、「キャリアアップに必要な3箇条」「ファッション業界で仕事をするときの心構え」など、自身の経験を元にしたアドバイスは受講者の心にダイレクトに響いていきます。


ミモレ大学を通じて


「100人居れば100通りのキャリアがあって、ゴールも違います。キャリアアップを望まれる方、リスタートを切りたい方、今はステイでもいいと感じている方……自分次第で納得して選んでいるのですから、それで良いんです。ですが、常に自分のキャリアを振り返り、自分を見つめ直すことは大切です。ミモレ大学という場で、“気づき”や“考えるチカラ”を学んでいただけたら嬉しいです」という挨拶で終了しました。
最後は、大草編集長から受講者全員に卒業証書の授与。第一期生、皆さんが万感の笑顔でした。

 

 

受講者の方から届いた感想PICK UP!

「100年人生の今、これからでも遅くないと自分に喝を入れ、目標に向かって生きていきたいと思います」

「ファミリーキャリアという言葉にハッとさせられ、キャリアは自分ひとりで積み上げられているものではないと気づかされました」

「大草編集長は、これまで、自分は今後どうしていくべきか、の自己分析と戦略を練ってこられたということがよくわかりました。生き方、働き方、考え方を学べてよかった!」

「常に5年後、10年後を考えながら行動する女性になれるよう頑張りたいと思った」

「キャリアについて一度立ち止まって考えるきっかけになりました。ファッション業界で仕事をしている中で社会に貢献できることがないか考えています」

「他人と比べても意味がない、ということはオシャレに関してだけでなく、キャリア(人生)についても同様だという熱いメッセージがひしひしと伝わってきました。自分を見つめ直し、今後のキャリアや人生について考え続けていきたいと思います」

 


取材・文/長谷川真弓