西日本豪雨のニュースに胸が痛みます。被災した皆さま、ご家族の不安な気持ちを考えると言葉が見つかりません。東日本大震災時の実家の様子と重なり、テレビの映像を見て立ち尽くす自分に無力さを感じます。

今回の帰国は宮城県石巻市の実家に数週間滞在しています。(その目的は次回お話ししますね。)東日本大震災から7年、石巻や女川の復興には驚くばかりです。大震災の津波によって、最も甚大な被害を受けた石巻では、震災犠牲者の約5分の1にあたる人が亡くなったそうです。たった人口16万人の街で、あまりに多くの人が犠牲になりました。毎年、実家に帰っても中学・高校の同窓会はなく、会うのは生存が分かっている友人数人のみ。人づてに同級生の消息を聞きますが、積極的に自分から聞いて回ることは何だかできません。

それでも、年を追うごとに街が復興し、重い口で被災時のことを話していた近所のおばちゃんの軽快なおしゃべりが戻り、人々がまた交わり、活気が戻るのを見ると、とても、とても嬉しいです。

日本語版は2018年1月に出版。自らフォークリフトの免許を取り、行方不明の娘を探す女性は妹が中学の時の美術の先生だったことを知りました。子を思う母の想い、全て読んでいて胸が張り裂けそうになりますが、「生きることを全うするために知っておくべきこと」が詰まっていました。

 

 

皆さんが「良書」と呼ぶのは、どんな本でしょうか?「一気読みをしてしまった」や「涙が止まらない」なども、判断基準のひとつでしょう。今回、私が出会った良書は、度も立ち止まり、ため息をついては、内容を反芻しながら読んだ本でした。心の深いところで起きる「ざわざわ感」が、最初から最後まで止まらなかったのは久しぶりでした。

『津波の霊たち』 3・11 死と生の物語  リチャード・ロイド・パリ―著英紙『ザ・タイムズ』のアジア編集長・東京支局長が震災後から長きに渡り綿密な取材を続けて書き上げたノンフィクョンです。震災当日に大川小学校で起きた事故 ―全校生徒78人のうち74人の小さな命が失われ、教職員11人のうち10人が死亡― 学校事故としては戦後最大の犠牲者を出した事件に焦点をおき、残された遺族の心の葛藤を軸に話が進んでいきます。


被災地となった地方の地形的特色、石巻人の気質、村社会、東北地方に根付く霊に対する考え方など、石巻出身の私が「ほーっ」と言ってしまうほど鋭い洞察力をもって捉えて描いています。そして、最後まで冷静な目を持ちながらも、被災者にそっと寄り添うような優しさが文章の中に溢れていて、素晴らしいジャーナリストとはこういう人を指すのだなと、思いました。

英語版は2017年8月に出版され、英のエコノミスト誌のBooks of the Yearにも選ばれたそうです。あまりにも素晴らしい本だったのでアマゾンでオーダーして、現在オットが熟読中。3分の2を読んだオットも大絶賛!!日本や東日本大震災のことを知らない外国人の方には、これを渡そうと思っています。

 

 

 

 

文中に登場する宮城県内にある寺院、金田住職の言葉が心に残りました。

「ただ人に『受け入れろ』というだけでは意味がありません。相手には寄り添い、自分なりの答えを見つけるまで一緒に横を歩く。私たちは一丸となって、凍りついた未来を溶かすのです」

心に傷を負った人、心の支えを必要としている人に「どのように手を差し伸べたらいいのか」「自分に何ができるのだろう」と迷った時、この言葉はちょっとした道しるべになってくれるのでは。

まだ、この本を読んでいない方は、ぜひ、お手に取って下さい。(ポチっとしても日本は早いですね)震災の日にあった「生と死」の真実の数々。ベタな言い方かもしれませんが、読んだ後は、一番近くにいる最愛の人たちを「ギューッ」と、力いっぱい抱きしめたくなります!!

皆さま、Have a nice day !