*ほぼ毎週(このところ隔週)金曜日に ショートストーリーをお贈りさせていただきます。
*これまでの作品はこちらからお楽しみ頂けます。
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「底抜けの幸せって何だろう……」


チユミちゃんという後輩の結婚披露宴が終わり、桐子は、なぎさ、そしてヒロキと、三人だけの勝手な二次会をすることになった。

桐子をはじめ、みんな今たまたま神奈川に住んでいる。
桐子は鎌倉の小町。 なぎさは横浜。 ヒロキは鵠沼海岸である。


桐子となぎさは同じ高校であった。ヒロキとは、桐子もなぎさも仕事を通じてそれぞれ知り合い、なんとなく気が合って、本音が言える貴重な同士である。

そんな四十すぎはありがたい。
それぞれが、それぞれの事情で現在独身であった。


宵空にタクシーで移動中の三人。
みんな後部座席に座っている。

 

「なんか情けないんだけどさあ……」

奥の窓際の桐子が話し始める。


「またちょっと幸福痛だわ……」


反対側の窓際に座るなぎさが反射的にたずねる。

「コウフクツウ……?」

「ああ。ごめんごめん。私が勝手に作ったことば。人様の幸せがなんかね~……

 

座席の真ん中で引き出物袋に囲まれているヒロキも応戦する。
車の床の真ん中が盛り上がっているため、ヒロキは体育座りのようになっている。ガタイもいいため、より窮屈そうに見える。

 

「幸せが痛いってこと?」

「うん。そうそう……」

「なんかわからないでもない」

 

「人の幸せを素直によろこべばいいのに、なんていうか、いいなあ~うらやましいなあ~…って。私も結婚できるのかな~とか、いろいろ巡らして、結局情けない自分がいることを確認するのよ……」

「そういう自分がまたイヤだったりもするんだよね」

「そうそう……」