食のアカデミー賞とも言われる「世界のベストレストラン50」をご存知ですか?
ジャーナリストやフーディーズ、レストラン関係者など、食のプロフェッショナルが世界で1000人以上も、お気に入りのレストランに投票し、世界一のレストランを決めるというアワードです。19年前にイギリスで始まったものですが、年を追うごとに勢いを増し、近年は世界のガストロノミーの潮流を左右するまでになっています。

写真右から2人目が私、フードジャーナリスト小松宏子です。

ところが、コロナ禍で2019年を最後に中止されていましたが、今秋、ベルギーのアントワープで2年半ぶりに開催されたのです。

 
 

アワードの前のレセプションは、歴史的な美しい建物の中で、スポンサーである、スパークリングワインやビール、ジン、生ハムなどに加えて洗練されたフィンガーフードの数々が供される、いかにも華やかな時間が流れます。ノミネートされたシェフたちの、目印は赤いマフラー。いたるところで、笑顔でハグ。

 

でも、何位になるかは、アワードの本番までわからないという、まさに、アカデミー賞スタイルなのです。

 

結果、1位の栄冠に輝いたのは、デンマークの「ノーマ」。日本でポップアップイベントをやったこともあるので、ご存知の方も多いでしょう。

 

実は、このベスト50では、一度1位になると、殿堂入りしてランク外になるというシステムがあるのですが、ノーマは移転したため、新生ノーマとしてのランクインです。昨年の2位から見事に1位を勝ち取りました。2位は同じくコペンハーゲンの「ジェラニウム」。世界の中でのニューノルディックの強さは変わりません。そして3位が、スペイン・ビルバオ郊外の「アサドール・エチェバリ」。薪火のみで調理をするという、独自の技法の影響の大きさは、日本の料理界を見ても、容易に想像がつきます。

 

4位はこれまた常連の、ペルー「セントラル」。5位が伝説のエルブリのレガシーを引き継ぐスペイン・バルセロナ「ディスフルタール」。6位がストックホルム「フランツェン」。以前から高かった評価がいよいよトップ10入りに。7位がペルーの日系料理「マイド」。こちらもおなじみ。8位がアジアのナンバーワンに輝いた、シンガポールの「オデット」。9位がメキシコの「プジョル」。このように、9位までに3軒の南米大陸のレストランがランクインするとは、南米が世界のガストロノミーに与える影響の大きさがうかがえます。10位には香港の「チェアマン」がランクインし、前回の31位からの躍進でハイエストクライマー賞も受賞。アジア勢の健闘をたたえたいですね。

日本勢は、ホスピタリティとサプライズに満ちた日本料理「傳」が11位と、もう少しでベスト10入りの大健闘。長年ガストロノミー業界に君臨する「NARISAWA」も19位と、安定の実力を発揮しました。そしてビッグニュースとして、「フロリレージュ」が39位で、新たなベスト50入りを果たす結果となり、日本人としては、誇らしい限りです。
一足先に発表された、51位~100位の中には、アジア圏から13店舗。うち、日本は5店舗のランクイン。51位「日本料理龍吟」、73位「ルカ・ファンティン」、75位「茶禅華」、76位大阪の「ラ・シーム」、99位「レフェルヴェソンス」と、それぞれ健闘。
 受賞するたびに、シェフやレストランのチームが皆で抱き合い、喜び合う姿は、見ている私たちまで胸が熱くなります。今回は日本のシェフは、コロナ禍で全員が現地入りを断念。ハレの場に立つことはできませんでしたが、日本の料理の魅力は確かなものとして伝わっています。コロナ後の活躍に期待が募ります。
来年はグルメ旅も夢ではないかもしれません!

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世界のグルメ旅もワクワク!
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