日常で感じる「ちょっとした違和感」について井戸端会議していくこの連載。ウェブマガジン「ミモレ」とその読者コミュニティ〔ミモレ編集室〕に寄せられた皆さんのモヤモヤエピソードをご紹介していきます。

今日ご紹介するのは、男性上司の言葉選びにまつわるモヤモヤエピソードです。

 


「夫には門限があります」「鬼嫁じゃん!」…って、なんで?


エピソードをお寄せくださったのは、共働きで小学生の息子さんを育てているというエリコさん(37歳・会社員)。


アラフィフの男性上司の発言にモヤモヤしています。明るくて話しやすい、仕事上ではやりやすい上司なんですが、たまに言葉選びが不用意で……。

私が、「朝ごはんの準備は夫の担当」「24時が門限」などと話すと、うれしそうな顔をして「エリコさん、鬼嫁だね!」「うわ~、尻に敷いてるね!」と言うんです。

我が家が共働きだということを上司は知っているのに、なんでそんな発想になるんでしょう。「鬼嫁」って、理不尽に夫に厳しくする妻のことですよね。家庭内を男女平等のルールにしていることが、上司の価値観からすると「鬼のよう」に映るのでしょうか。これが男女逆だったら、彼は夫を「鬼夫」と呼ぶのでしょうか? きっと呼ばないですよね。

こういう時私はいちいちムッとしてしまい、うまく言葉を返せません。「鬼嫁だね!」「ちょっと~、やめてください!」みたいなやりとりが定型になってしまっていて、夫婦漫才みたいになっているのもモヤモヤ。若い同僚たちも見ているし、その発言の理不尽さをもっとちゃんと分かってほしいんです。どうすればいいのでしょう。

 


「同じシチュエーションで性別が逆だったら」と考えてみる


鬼嫁、恐妻家、妻が夫を尻に敷く……。本当に「鬼のように理不尽」な女性のことを指しているならうまい言い方なのかもしれません。でも、ただ意見を主張しているだけなのに「鬼嫁」と呼ばれるのは、過剰に「怖い女」に仕立て上げられているようで嫌な気分になりますよね。

「これが男女逆だったら、彼は夫を『鬼夫』と呼ぶのでしょうか?」というエリコさんの仮説、面白いですね。確かに、朝ごはんを担当する妻・夜遅くならないように家に帰る妻をもつ夫を、「鬼夫」とは呼ばないような気がします。

「男のくせに泣くな」
「イクメンだね」
(結婚が決まった同僚に)「仕事は続けるの?」

こんな言い回しは、男女差別や相手を傷つけるつもりはなかったりしても、ぽろっと口にしてしまうことがあると思います。口に出す前に「性別が逆でも違和感なく使える言葉かな?」と考えてみるのは、自分の中のジェンダー・バイアスに気づくきっかけになるかもしれません。
 

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【漫画】「鬼嫁」ってなんで!?
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