64歳で恋人ができ、27年ぶりにセックスをしたという編集者の原田純さん。60代になって腟ケアをはじめ、恋やセックスと改めて向き合う中、中高年の「性欲」について様々な疑問が湧いてきたといいます。今回は原田純さんの著書『人生最高のセックスは60歳からやってくる:ちつのトリセツ恋愛実践編』から、「年をとったら、性欲がなくなることがよいこと」という思い込みについて、特別に一部抜粋してご紹介します。

 

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感情の高まりは、必ず「数年」で終わる

写真:Shutterstock

恋愛初期の感情の高まり(のぼせ上がり)は、必ず数年で終わります。結婚して子どもができれば日常の面倒に追われ、数年後には、相手にときめくことすらなくなってしまいます。恋をして一時はのぼせ上がっても、長く付き合っていれば、飽きたり、気に食わない面が見えてきたりすることも避けられません。これはおそらく、多くの人が経験していることでしょう。実際問題、これが恋愛や結婚の現実なのです。

理想の恋愛や結婚はあきらめるとしても、欲望は、私たち人間の本質です。美味しいものが食べたい、旅行がしたい、きれいなものを見たい、もっと元気になりたい、もっとお金が欲しい、もっと有名になりたい、もっと愛されたい……。私たちは、つねに快楽を求めて生きています。欲望の塊です。なぜなら、なにかにあこがれ、手を伸ばし、それを摑もうとする欲望こそが、私たちの生きるエネルギーであり、生きる力の源泉だからです。

欲望のなかで最もやっかいなのが、人に対する欲望なのかもしれません。コントロールするのは至難の業だし、自分一人では、どうしても満たすことができない欲望だからです。性欲に限って言えば、射精やオーガズムという神経反射的な快楽なら、風俗に行ったりマスターベーションをしたりすれば比較的簡単に得られるでしょう。

けれども、それだけで私たちの「人を欲する気持ち」が満たされることはありません。なぜなら私たちは、人を欲するとき、人から欲されることを同時に欲しているからです。