「犬の散歩中、リードをぐっと引っ張られた瞬間、お股に生温かいものが……」
「突然の尿意に襲われて、慌ててトイレに駆け込んだけど、ああ無念」

尿意はなかったのに不意にちょっと漏れてしまった、トイレに走ったけど間に合わないことが増えたなど、人には言えないおしっこのお悩みはありませんか? 

女性の場合、「尿漏れ」の原因のひとつとして、閉経による女性ホルモンの減少が大きく関わっています。個人差はありますが、日本人の平均閉経年齢は約51歳。閉経から前後5年の10年間を更年期と呼びます。実際に、更年期以降には半数以上の女性が尿漏れに悩まされているというデータがあるのです。
「なかなか人には相談しにくい問題ですが、尿漏れは予防も治療もできます。まずは閉経を機に女性の身体にどのような変化が起こるのかを知り、今からできる対策を習慣づけていきましょう」

どうして尿漏れが起こってしまうのか。そしてそれを予防するにはどうしたらいいのか。女性の尿漏れのお悩みに数多く寄り添っている泌尿器科医・平本有希子先生に話を伺いました。

 

なんで私が? 閉経とともに深刻化する尿漏れの悩み

 

なかなか人には相談しにくい尿漏れの悩み。しかし、この悩みは特別なことではありません。「実際、40代以降の女性で40%、60〜70代になると半数以上の方が尿漏れに悩んでいます」と平本先生は話します。加齢とともに経験することが増えていく尿漏れは、どのような原因で起こるのでしょうか?

50歳前後の閉経により女性ホルモンが減少すると、骨盤底筋群が衰えます。骨盤底筋とは子宮や膀胱など骨盤周りの臓器を支え、排泄をサポートするインナーマッスルです。ここが弱ると、どうしても尿が漏れやすい状態になってしまいます。また、『抗利尿ホルモン』というおしっこを作らせないホルモンが、年齢を重ねると減少することも一因です」

尿漏れの不安があると、気持ちが塞ぎ、遠出しにくくなったり、そもそも外出を控えるようになるなど、毎日が楽しめなくなってしまいますよね。閉経後も健やかで楽しい毎日をおくるためには、今から予防をしておくこと、そして閉経後からでも改善・治療するための方法を知っておくことが大切です。