ホワイトアウト・パニック


――ど、どういうこと!? あれ? 視界が悪くて、通り過ぎた!?

走っても走っても、教習所の敷地入り口にあるはずの大きな看板は見つからない。

おかしい。1本道なはずだ。Uターンしたし、絶対にそろそろ見えるはず。……もしかして、1本道じゃなくて、どこかで二股だった? いや、そんなはずはない……でも、普段は教習所の送迎バスに乗って運ばれているだけで、じつは駅までの20分の道順もあやふやだった。

――こんな田舎に連れて来られて、ってふてくされて何も興味を持とうとしなかったから、バチがあたったんだ。

恐怖に押しつぶされないように、必死にこらえていた涙があふれだす。今日だって、友達がいれば、トイレで「ちょっと待っててもらって!」と言えただろう。誰かが気づいてくれたはずだ。気配を消して、斜に構えていたから、誰ともつながらずに、このありさまだ。

「助けて! 誰か! 誰かいませんか!」

 

私はついに恐怖にかられ、叫び始めた。緊張で喉がカラカラだった。声はむなしく、吹雪に吸い込まれていく。押元の雪を一口だけ口に入れて飲み下すと、私は追い立てられるように走った。教習所の周囲に建物らしきものはなかった。何が何でも教習所への私道を探さなくては。

 

そのとき、ホワイトアウトした視界の先に、かすかにヘッドライトが見えた。車だ!

「すみません! 止まって! 止まってください!!」

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春の宵、怖いシーンを覗いてみましょう…。
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