閉経前後の10年間、女性に訪れる更年期。個人差はありますが、女性ホルモンの減少によって心身ともにさまざまな不調が起こります。

日々の不調は、ともに暮らす家族には理解していてほしいもの。それなのに、夫に「今日調子が悪くて……、ちょっと買い物お願いできない?」とお願いしたら、ソファで寝転んでボーッとテレビを見ていた夫が起き上がって一言。

「あ〜、俺も具合悪い」

思わずイラッとするエピソードですよね。

 

夫は家にいるときはダラダラ寝てばかり。私の更年期の辛さなんてわからないんだ……と嘆きたくなる気持ちもわかります。でも、もしかしたら、彼が言う「具合悪い」も男性更年期の症状なのかもしれません。


「中高年以上なら、男女ともに更年期症状を疑ったほうがいいかもしれません。更年期の心身の不調はなにも女性特有のものではなく男性にもあるからです。

若い頃に比べて、女性なら女性ホルモン(エストロゲン)、男性なら男性ホルモン(テストステロン)の低下が、心と体に悪影響を及ぼします。それを知っているだけでも、人間関係のトラブルが減少すると思います」

そう話すのは、女性の更年期で悩む患者さんたちと向き合ってきた泌尿器科専門医の関口由紀先生。関口先生は、中高年以降は男性だけでなく女性にとってもテストステロンが重要であることにも注目し、研究と臨床を続けている第一人者です。

今回は、男女の更年期の違いについてお聞きしました。心身の変化が大きいミドルエイジの夫婦にとってお互いの身体に何が起こるのかを知ることが、円満な夫婦関係を維持することに役立つはずです。