質問③ 「年を重ねてわかった」ことはありますか?

 

人は年を重ねるたびに、経験からさまざまなことを学び、生涯をかけて成長していきます。映画『ナイロビの蜂』でアカデミー賞助演女優賞を受賞したレイチェル・ワイズは、「年を重ねることで、より賢く経験豊かになれば、物事が容易になる。自分自身にも自信が持てるはず」と言ったようにです。

 

10年前の自分と比べれば、今の自分には、当時はなかった知恵や気づき、自信もついていることに気づくでしょう。

「人生の正午」とは、スイスの深層心理学者であるカール・グスタフ・ユングが、人生を1日の太陽の動きになぞらえた考え方で、人生の前半と後半の境となる時期のことを言います。年齢で言えば、40歳から50歳くらいが正午にあたるとされています。

ユングは、「人生の正午」をポジティブに迎え入れることの大切さを説いています。

人生も正午を境に、日のあたる場所、影となる場所が移動していくように、興味や関心、考え方や価値観に変化が生まれ、生き方自体も変わっていきます。

そう考えれば、年を重ねることは決して老いていくことだけを意味するのではなくなります。それまで影になっていた部分に新たな光があたり、浮かび上がってくること。それが年を重ねることでもあります。

わたしの場合、人生の正午を迎えたころから、残りの人生をだれかのために役立てることに深い意義を感じるようになりました。

実際、人はほかの人の役に立てば立つほど、幸福度が高まるものであるとされています。

自分のためと、だれかのためは、対になるものではありません。だれかに何かを与えるほど、自らも豊かになっていきます。自らが満たされ、豊かになるほどに、心の中にあるコップの水があふれ出し、さらにほかの人にもやさしくなれるようになるのです。

自分が何をしたかも大切ですが、だれかのために何ができるかを考え行動に移すなかに幸せを見いだせることも、年を重ねていくほど染み入る幸せの深さと言えるのではないでしょうか。