この世界にいると、次につなげる意識は必然的に生まれるもの

 

ーーパンフレットに載っていた「何百年後に古典と言われる作品を、僕たちの世代でも作ってみたい」という言葉は、ミモレが2019年に松也さんにインタビューした際も仰っていました。そこからは、歌舞伎に携わる人間としての責任、といった思いも強く感じます。

松也 責任の重さを感じながらやってるわけではありませんけれども、次につないでいかなくてはというような意識は、みんな常にあると思いますね。映画やドラマだって、先人の力というのは大いにあるわけでして、僕らはそれを直接的に受け継ぐかたちになっている。俳優から俳優へ、身体から身体へ、作品ごとに直接伝承していくのが基本です。それでつないできたというのは大きいと思います。いわゆる伝統芸能と言われるものはほぼ全部そうではないでしょうか。

本来、役者というのは一代のもの。どんな名家の出であろうとそうでなかろうと、その役者がどれだけ名前を大きくできるかというのは本人にかかっていると思います。

それでいうと、芸というのはある意味で企業秘密。何年、何十年とかけて築いてきたものを人に渡すなんて本来ならやらなくていいことだけど、それを先輩たちがやってくださって、その恩恵があるからこそ僕ら後輩はここまできた。そうした世界で生きていると、続けなくては、伝えなくてはという意識は必然的に生まれるものなのだと思いますね。新作を上演することも、継承のひとつです。先人たちもみんな新作を作っていますから。

蔦之助 (聞きながら何度も頷く)

 

ーー役者一人ひとりがそうした意識を持っている中で、さらにはみなさんは同世代で……

松也 あ、違います。この二人は40代ですけど、僕まだ30代なんで。

國矢 (否定が)早いよ。20代と一緒ってわけじゃないんだからさ。

ーーーここだけ同世代とさせてください(笑)。その同世代のみなさんで、この仲間で作っていきたいというような思いはありますか。

 

國矢 そりゃもちろん、少なからずは。こうやって集まれて『刀剣乱舞』という作品を作れることも嬉しく思ってますしね、力を合わせてというかね。それでも歌舞伎っていろんな人たちと一緒に仕事しなきゃいけないから、ここで培ったものを他の場所でも発揮しなきゃいけないし。同じグループで、ただ気の合う人たちだけでってできるわけではないのでね。