3月からスタートした新シリーズ「経験とスキルのかけ算ドリル」。この連載では、記事ごとに1つの資格や職業に焦点を当て、その仕事から得られた経験と新しいスキルの「かけ算」を、まるでドリルを解いていくかのように具体的に考えていきます。「かけ算」の具体例を考えるのは、400種類以上の資格を持ち、「IT×社労士×僧侶」と自身もユニークなスキルのかけ算で活躍されている資格ソムリエ®の林雄次さんです。昔ながらの職業もITの現場も知っている林さん。今回は、どのようなドリルを考えてくれるのでしょうか。

この記事を通じて、「この先どう生きていく?」「このままの私でいいの?」とモヤモヤしている皆さんが、ご自身の未来を考えるきっかけになったら嬉しいです。
 

企業によって幅広い仕事内容をカバーする「一般事務」


これまで「保育士」と「アパレル販売員」を取り上げてきましたが、第三回は「一般事務」をピックアップし、経験やスキルの新しいかけ算を考えていきたいと思います。


まず、一般事務とはどのような仕事のことを指すのか見ていきましょう。

 

厚生労働省が運営する『job tag(日本版O-net、よみ:じょぶたぐ)』によれば、主な仕事内容は下記のとおりです。


一般事務の仕事内容● 定型的な事務作業を行うことが多く、企業によっては「庶務」と呼ぶこともある。
● 文書作成、文書整理、金額や数値の集計、社内書類の点検・管理、メール対応、各種台帳・伝票の作成と管理、データ入力、電話の取次ぎ、消耗品の補充、来客の一次対応などが業務の中心となることが多い。
 

もう少し具体的なタスクを洗い出してみると、下記のとおりです。

● 書類やデータの内容チェック
● ビジネス文書の作成、資料作成(データ入力を含む)
● コピー機やFAXなど、オフィス機器を使った作業
● 書類やデータ、社内備品の整理・保管
● 電話やメールなどによる社内外とのコミュニケーション
● お茶出しなどの来客対応
● 郵便物の発送・受取、スケジュール管理、現金出納、会社行事の企画運営など、会社運営にまつわる多数の細やかな業務の遂行

このような仕事内容を、job tagに基づいて「普遍的なスキル」に置き換えると、一般事務のスキル上位3位は下記のようなものになります。

1位:コンピューターを用いて作業を行う、上司・同僚・部下とコミュニケーションを取る
2位:人間関係を構築し、維持する
3位:仕事を整理、計画する、優先順位を決める

さらにもう少し細かく分析してみると、一般事務の仕事では、

● 傾聴力
● 文章力
● 読解力
● 説明力
● 事務処理の経験やスキル

を獲得していることが多いかもしれません。

一般事務の仕事は、各部門や企業の“縁の下の力持ち”のような存在であることも少なくありません。特に中小企業においては、一般事務が社内のあらゆる業務を担っていることも多く、幅広い知識やスキルが身についている可能性もあります。


では、一般事務の仕事において、どのような資格やスキルを組み合わせると、これからの生き方の可能性が広がるのでしょうか。
次のページから詳しく考えていきましょう。