“魔王様”の言葉は、まさに「転職」の現実

©︎カンテレ

今季イチオシのドラマが『転職の魔王様』(カンテレ・フジテレビ系)です。なんと舞台は転職エージェント! 以前の筆者の記事を読んでくださった方ならご存じだと思いますが、短期離職をして転職市場を漂流していた筆者は、転職エージェントに「あなたに市場価値はない」と一蹴された苦い思い出が……。

このドラマの主人公、“転職の魔王様”の異名を誇る来栖嵐(成田凌)は、転職エージェント「シェパードキャリア」に勤めるキャリアアドバイザー。
「未経験業界に行くなら25歳の今年がタイムリミットと言われています」
「求人企業の多くが転職者に求めるのは即戦力です。未経験でも許されるのは就活中の学生か、25歳以下で高い適応力と高いポテンシャルのある人だけ」
「経験業種であっても転職限界年齢は35歳。女性の場合30歳といまだに言う人もいます」
など、転職先は未経験業界でもいいと言う求職者に容赦なく現実を突きつけます。

 

「合わない仕事は人を殺しますから」


これを見て、ひぃぃぃぃぃ、デジャブ! と一瞬思ったのですが、そんなただただ冷酷な鬼キャリアアドバイザーではドラマが成り立ちません。自分の市場価値や転職限界年齢などの”現実”にぶち当たる求職者たちは、自分の本音を押し殺し、”妥協”して転職活動をしようとします。魔王様はそんな求職者たちの、本当はどんな会社を求めているのか? どんな仕事がしたいのか? どんな働き方がいいのか? という本音を引き出し、最適な転職先を見つけ出すのです。魔王様は言います。

「合わない仕事は人を殺しますから。合わない仕事は自分の心を殺し、他の誰かを殺すこともある。だから俺は見過ごせません」

転職の魔王様と呼ばれる来栖嵐(成田凌)とペアで奮闘する未谷千晴(小芝風花)。 ©︎カンテレ

そう、魔王様はいつも超真剣なんです。働く場所を決めるということは、その後の人生を決めるということ。人生を左右する転職活動で自分に嘘をつくな。自分を押し殺してまで現実に迎合するな。そんなメッセージがひしひしと伝わってきます。