『転職の魔王様』は一人ひとりの働き方に問いを投げかける


苦しい環境にいると、それが当たり前、自分にはそれしかないと錯覚し、今の環境から抜け出す考えや余裕さえ奪われていきます。でも、実は社会には本当にいろんな職種や職場、働き方があるんです。きっと、最高とまでは言えなくても、自分に合った、少なくとも今のところよりいい条件の場所があるのだと思います。

第7話は、子育て社員と独身社員の“職場の不公平”、その解決法について考えさせられる物語だった。 ©︎カンテレ

筆者の話になりますが、本当に自分に合わない仕事をしていた時、そんなこともできないのか、とからかわれました。でもそのからかってきた人ができない、苦手な仕事が筆者にはできたんです。だから、得意なことをやらせてくださいと伝えると、「嫌なことをやるのが仕事だから」と言われました。社会はそういうものだ、と言われたけど、筆者は納得できませんでした。

 

もちろんチームで動く場合、嫌なことでもやるべき時はあるし、バランスは大事です。でも結局適材適所で、苦手なことではなく、得意で好きだと思えることをやるほうが自分にも周囲にもよかったりします。

嫌なことをやるのが仕事という考えは、行き過ぎると組織を、そして社会全体を後退させます。そして、実際に自分の得意、好きなことだけをやる働き方に移行した今、苦手で嫌いな仕事をやっていた時間はいったいなんだったんだろうと思うのです。もちろん、好き、得意を仕事にするからこその辛さもあるし、仕事である以上プレッシャーや辛いこともたくさんあります。それでも自分が選んだ仕事で起きたことは耐えられるものです。

未谷千晴(小芝風花)の、叔母でありシェパードキャリアの社長でもある落合洋子(石田ゆり子)。 ©︎カンテレ

『転職の魔王様』は、今の仕事は本当に合っているのか? 人間関係が耐えがたいものではないか? 今の給与水準で満足しているのか? そんなことを、振り返るきっかけになると思います。


文/ヒオカ
構成/金澤英恵
 

 

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