コーヒーの質が少しずつ変化している

 

実は私も、コーヒーの質が少しずつ変化していることを感じています。これは感覚的なものなのですが、長年コーヒー業界にいるテイスターの方たちと話すと誰もが同じような感覚を持っています。

「昔ほど素晴らしい酸味を持ったコーヒーが少なくなってきている」

そんな感想をよく聞きます。良質な酸味を含め、複雑な味わいや香味は、寒暖差がある土地でコーヒーノキが適度なストレスを受けながらじっくりと育っていくことで生まれると考えられています。ここ2~3年ではあまり差は感じなくても、10年前と比べると味わいに多少なりとも変化があると言う人が一定数います。

 

生産者たちからは「昔はよい豆が採れていた区画で、採れなくなってきている」という話も聞きます。地球温暖化の影響は実際に起きているのでしょうか。最近は生産処理方法など発酵分野において技術革新が進んでいますが、裏を返せば「テロワールだけでは品質を担保することが難しくなってきている」という一面もあるのかもしれません。

これまでと同じ品種を同じように手をかけて栽培しても、収量が減り、品質も下がり、その結果として買取価格が下降すれば、栽培から撤退する生産者は増えることでしょう。

生産者が減れば、当然ながら世界に流通するコーヒーも減ります。「コーヒーが飲めなくなる」というのも、あながち「誇大表現」とは言い切れないかもしれません。