その家は川の土手のすぐそばにありました。1階から見えるのは、緑の土手。2階からは河原の樹木。そして3階からは川を眺めることができます。光が溢れ、目の前に遮るもののない開放感。それを楽しむためでしょうか、3階の掃き出し窓の近くには、外を眺めるための場所が作られていました。室内からの視線を遮らないように、低いスツールがひとつ。オブジェのようでもあります。小さなスペースですが、それがこの部屋をとても豊かにしていたのです。合理的で無駄のない空間ばかりでは、楽しくない。ほんの少し幅の広い階段、少しだけ広いバスルーム……そんな「少しだけ」無駄なスペースこそ、暮らしを豊かにしてくれるのではないでしょうか?