オープンマリッジは可能か?


浮気を申告したのが、続行を表明するためなのだとしたら、配偶者にとってこれほど腹立たしく苦しいことはないでしょう。しかしそんなことをして、どんなメリットがあるのでしょうか?

今回取材をさせていただいたいずみさん以外に、オープンマリッジのイメージに近い40代のご夫婦にもお話を伺ってきました。いわく、「結婚という形態がお互いにメリットがあったので結婚しました。一応、恋愛結婚なんですけれど、今考えれば夫は多分アセクシュアル(他者に対して性的欲求・恋愛感情を抱かないセクシュアリティ)なんじゃないかと。だから、私たちは淡々とした友人関係のような感じです。彼は私に彼氏のような存在が数人いることを知っていますが、そこは放っておいてくれます。私も彼の海外旅行や女性と2人で趣味の遠出があっても何も言いません」とのこと。

なるほど、お2人が納得していれば、それはそれで成り立つ結婚形態なのだと思います。

しかしいずみさんの場合はそうではありませんし、仮に自由にしようと思ったとしても子育てを一手に担っているため不可能です。

そのうえ晴馬さんの暴走はさらに想像のうえをいくものでした。

 

「彼は、私と子どものことは守りたい、好きな人はできたけれど、それは変わらないと言います。到底受け入れられず、じゃあ離婚しよう、と言うしかありませんよね。すると彼はしょんぼりした顔でいったん引き下がりました。

 

夫婦関係はただただ最悪になりました。私は頭に来て、口もきけないほどでした。でも、産後すぐに浮気された、というのがあまりにもみじめで、誰にも言えません。夫とは学生時代からですから、共通の友達ばかりで……。

ところがある日、彼が郊外の素敵な海の見える中古の一軒家を探してきて、ここをリノベして住まないか、って嬉しそうに言いだしました。事務作業や煩わしいことは嫌いなひとなので資料を集めて見積もりまでとってきたのがとても意外でした。最初はスルーしていたんですが、特別快速が停まる駅で通勤時間は1時間以内だし、そんなに変わりません。ちょうど保育園に入れそうもなくて困っていたこともあり、これは彼なりの謝罪というか仕切り直しなのかなと捉え、心機一転、引っ越してやり直してみようかと考えたんです」

少々唐突にも感じられましたが、タイミングや風向きを大事にしたかったいずみさんの気持ちもわかる気がしました。家を買うということは、浮気は出来心と認めたようなもの。雨降って地固まることを期待し、ローンを組んで家を購入しました。

しかし期待は裏切られます。家を購入し、引っ越すという段階で、晴馬さんはとんでもないことを提案してきたのです。