配偶者の荒唐無稽な主張に対応


「新しい家には、君と子どもで住んでいい。もちろんローンは俺が出す。食費や子どものお金なんかはいずみのお給料でなんとかしてほしい。僕もそう遠くないところにアパートを借りるから、週末は一緒に過ごそう」

晴馬さんは屈託なく、そう提案したそうです。オープンマリッジ作戦は続行中でした。平日は彼女と過ごして、週末はいずみさんたちと過ごそうというのが新しい主張です。

取材中混乱し、オープンマリッジなどというからややこしいのだと、状況を整理しました。配偶者による浮気と一方的な別居だったとして、果たしてこの条件は「アリ」なのでしょうか? 

普通は夫に唐突に告げられた身勝手な条件を受諾するのは難しいでしょう。結婚を継続しているあいだは別居中、収入の少ないほうが婚姻費用を受け取れるはず。いくらローンを全額払っているとはいえ、夫の浮気の結果の別居で生活費や子どもの養育に関するお金を妻に丸投げするのは一方的と言えるでしょう。収入にかなりの差もあるので、裁判をすれば認められないはずです。

 

「夫はとにかく、私のことも子どものことも家族として大事なんだと口では言います。彼女に求めているのはちょっとしたワクワクと性的な関係性。だから家のお金は払うと。家族としてやっていこうって。

バカにしてるの!? と叫びました。そんなことがまかり通ると大真面目に信じてるんだとしたら、本物のバカ夫だと思い、離婚しようと思いました。そう決めると、いろいろ腹が据わってきて。今、放り出されるよりも、家を確保しておいて、お金を貯めて、転職して収入もアップさせようと考えたんです。3年、我慢して、その間に色々な手筈と整えようと計算しました」

 

たくましいいずみさんは、リノベーションが済んだ素敵な一軒家の写真を見せてくださいました。確かに、後先考えず、相手の都合だけで離婚するよりもいい作戦かもしれません。晴馬さんが住んでいるアパートは古い1Kのアパートでした。会社員の収入ではローンを払いながら家賃を出しているので、当然でしょう。

かくして始まった別居生活。いずみさんにとってはひたすらに離婚準備期間です。しかし晴馬さんにとっては、いずみさんは依然として一番に何でも相談したい家族であることは変わらないようでした。ある夜、驚くようなメッセージが送られてきたのです。