「ストレスに潰されてしまう人」の大きな特徴

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——過酷な状況でも心の健康を保てる人は、首尾一貫感覚を持てた人だったそうですが、逆に「ストレスに潰されてしまう人」ってどんな人なんでしょう?

舟木彩乃さん(以下、舟木):第一に「完璧主義」の人ですね。こうしなきゃいけないと強く思い込んだり、過酷でストレスフルな出来事を真正面から受け止めて、乗り越えようとしてしまう。そうした方たちはなかなか肩の力を抜くことができず、ストレスに潰されてしまいがちです。

私は普段、働きながら老親の介護をしている40~50代の女性たちの相談をよく受けるのですが、親が入院してお見舞いに行かなきゃいけない、病院や介護施設と打ち合わせがあって、会社を抜け出して対応しきゃいけない、だからいつも心身共に余裕がない、とみなさんおっしゃるんです。でもよくよく聞いてみると、「それって全部あなたがやらなきゃいけないことですか?」というものが多くて。完璧主義だから、全部自分でどうにかしようとしているんですね。

 


「人に任せない言い訳」を探さないほうが自分のため


——誰かの力を借りるという発想が、なかなか持てないんですね。

舟木:ごきょうだいやヘルパーさんにお願いできないのか聞いてみると、「きょうだいは親と折り合いが悪くて」とか、いろんな言い訳が出てくるんです。本来は手放していい部分も、自分を犠牲にしてまで背負っている方がすごく多い。でも、介護って自分で「できないこと」も多いわけで、人に任せられるところはポンと任せちゃうしかないんです。カウンセリングで吐き出してもらうことで、「自分が全部に関わる必要はないと思えるようになった」という方も少なくありません。


————「なんとかなる」という感覚と「完璧主義」は真逆かもしれません。すべて完璧にしようと思ったら、なんとかなるとは思えないですもんね。

舟木:一方で、なんとかなると思えない原因としては「年齢による経験不足」もありますよね。20〜30 代だと経験値を積み重ねている最中なので、「だいたいわかった」「なんとかなる」とは思いにくい。そして、完璧主義とはいかないまでも、全部自分で解決しなきゃいけないと思ってしまうような、責任感が強い方——言い換えれば「真面目すぎる方」は、「経験」そのものが少なかったりするんです。