「スマホは悪い!」と短絡的に考えるのはもったいない

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今から遡ること十数年前。スマホ研究の初期には、実際にスマホで認知力が低下したり、心のウェルビーイングが失われたりすることを示す結果が報告されました。しかし実は、その逆の結果を示す研究も数多くあったのです。

科学的には、良い影響を示す結果もあったのだから、悪い結果だけに注目して「スマホが脳に悪い!」と結論づけることはできません。それは同時に、「スマホは脳に良い!」と結論づけることができないのと一緒です。

科学研究のプロセスにおいては、そうやって良い結果と悪い結果が出てきて、相反するデータに出くわすことはしばしばあること。そういった場合には、どういった面がポジティブな結果につながり、どういった面がネガティブな結果につながるのか、より細かい検証をしていくことになります。

 

そして実際、最近のスマホ研究では、どのような要因がスマホのポジティブな影響につながるか、またその逆につながるか、ということが細かく研究されてきたのです。

使い方や使用目的、年齢、短期や長期に違いはあるかなど、いろんなファクターが研究されて、それぞれにどのような影響があり、どれくらいの効果があるのかが評価されてきています。

つまり、現在のスマホ研究は、その評価が世界規模で熟成し始めていると言ってもいい、まさしく過渡期にあるのです。だから、ネガティブキャンペーンに吞み込まれて、「スマホは悪い!」と短絡的に考えてしまってはもったいないのです。最新の研究を踏まえて、うまいスマホの使い方で、ポジティブな効果を得ようとするマインドセットが大切です。