ラグジュアリーな外資系ホテルにステイする京都の旅が素晴らしい体験であることは言わずもがなですが、ひっそりとしたクオリティの高い隠れ宿に泊まって楽しむ京都もまた格別。今回は、40代50代におすすめしたい南禅寺畔に佇む「南禅寺参道 菊水」と、古美術商が居並ぶ古門前に建つ「ART MON ZEN KYOTO」(アール モンゼン キョウト)をご紹介しましょう。

 


820坪の敷地に客室は6室だけ。
東山を借景にした優美な庭園も!
【南禅寺参道 菊水】


南禅寺の参道をしばし歩くと右手に「菊水」の姿が見え隠れします。知らなければ通りすぎてしまいそうな、こんなところに宿があるとは思いもよらない場所に、です。もとは、明治期に、呉服商の別荘として建てられた家屋。庭は、近代庭園の先駆者と言われる小川治兵衛の手になるもので、東山を借景にした優美な池泉回遊式庭園は、100年以上も原型が守り継がれています。その名庭は、今また若き庭師に受け継がれ、輝きを増しています。

昭和30年以来、宿として愛されてきた「菊水」ですが、近年「食」と「とき」を楽しむ、和モダンなステイを可能にする宿として、さらに魅力的にリニューアルを遂げました。
820坪の敷地の中に、広大な庭園に対峙する母屋には客室は6室だけという贅沢な造り。赤松を正面に、庭園を一望できるパノラマ感のある和洋室や、庭の中に身をおくようにテラス席を併設した部屋など、それぞれに異なる内装が施され、季節ごとの顔を見せる庭園とのマッチングが、無限大の楽しみをもたらしてくれます。中でもスパ設備の整った特別ルームが昨年増設され、楽しみの幅が広がりました。

 

 

また、自らを料理旅館と称する「菊水」は、料理へのこだわりもひとしおです。庭を一望にできるメインダイニングでいただく夕食は、遊び心を盛り込んだイタリアンベースの欧食と端正な和食がチョイスできます。欧食では、石や疎水、赤松をテーマにした華やかな前菜のあとに、季節の鮮魚、さらに和牛の一皿、そしてリゾットで締めくくりと、なんとも贅沢なコースで供されます。

 

宿泊者限定の朝食は季節の野菜のすり流しで、身体をゆっくりと目覚めさせてくれる雅な仕立て。連泊しても飽きることのない、多彩な料理はさすがです。
もう一つのテーマである「とき」は、悠久の時間を刻んできた庭や建築の中で、日々の喧騒を離れて、しばしの時間を過ごせるということです。小鳥のさえずりの中でまどろむもよし、読みかけの本をゆっくりと読むのもよし、暮れなずむ景色を眺めながら、アペリティフをたしなむもよし、普段とは異なる時間の流れを体感すれば、ひと味違う京都旅を満喫できるはずです。

 

宿名:南禅寺参道 菊水
住所:京都市左京区南禅寺福地町31
電話:075-771-4101
http://kyoto-kikusui.com

 
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