爽やかな風が吹く春。日によっては汗ばむほどの暖かさで、外で体を動かすにも最適な気候になりました。せっかくだからランニングでも始めてみようかな? でもどうせ続かないし……と逡巡しているみなさん! 倉島 万由子さんの書籍『楽しいから続く、続くから効果が出る くせになるランニング』には、倉島さんのこんな言葉が綴られています。

 

ランナーたちは、なぜランニングに魅了され、「くせ」になっているのでしょうか?
それは、ランニングのもたらすさまざまな効果を自覚し、走ることで「人生がうまくいっている」からです。「走るとうまくいく」のは、偶然ではなく必然であり、脳科学的・心理学的に立証された根拠があります。自分のペースのランニングで、人は身体的にも精神的にも安定し、悩ましい人生の後半を充実したものに変えています。

 


倉島さんはランニングジャーナリストで、ランニング歴25年。現在地球2周(約8万km)を達成し、52歳の今は3周目に向かって日々ランニングを楽しんでいるそう! そんな倉島さん曰く、ランニングは「コロコロと転がるように人生が好転する」魔法のスポーツなのだとか。今すぐ走り出したくなる「ランニング」の効能について、倉島さんの著書から特別に一部抜粋してご紹介します!
 

 


走ることで「ストレスに強くなる」

 

仕事・家事・勉強・育児・介護……とやらなければならないことが山盛りの毎日。けれども、家族との時間や自分のための時間も必要。そのあわただしさに疲れてしまったり、日々の生活は充実しているのに眠れない日々が続いたり。そんな経験はないでしょうか?

じつは私も、見えないストレスをうまく処理できず、動悸が止まらなかったことがあります。そこで私は仕事からいったん離れ、生活習慣を改めることにしました。その1つが途切れがちであったランニングをスケジュールに入れることでした。

「朝、早く起きる→走る→日々のことを行なう→早く寝る」という1日の流れを決め、忠実に日々をすごしていきました。徐々におだやかな1日をすごせるようになり、気がついたら動悸もなくなっていました。

それまでも走るすばらしさをランニング専門誌『ランナーズ』の読者の方に伝えていましたが、この経験のおかげで、改めて走ることの恩恵を知ったのでした。

私の動悸の原因は、「ストレスホルモン」と呼ばれるコルチゾールの血中濃度が常に高くなっていたことでした。通常、海馬がコルチゾールの血中濃度が上がるのを抑えてくれますが、それが1日中高い状態にあると、海馬が萎縮し、本来の力を発揮できなくなります。無気力になったり、集中力がなくなったりします。私のように動悸がすることもありますし、うつの症状を訴える人もいます。

では、走ることで負の心の状態が上向きになるのはなぜでしょうか? それは、走ることで「ストレスに対して過剰に反応しない身体」につくり変えられるからです。