アゲルちゃんさんからの質問
Q.
モラハラ夫から確実に養育費を取るには?

夫のモラハラに耐えきれず、昨年から別居をしました。離婚に向けて、子供の養育費だけは払ってもらいたいと考えています。そのためにすべき事(書類や離婚届など)の準備や順序を教えていただきたいです。(50歳)

特別ゲスト 原口未緒先生の回答
A.
モラハラ夫とは直接話し合わず
第三者を挟む調停離婚に持ち込むのが鉄則です。

最近はモラハラ夫の相談は、とても増えています。そこでまず、モラハラ夫の特徴についてご説明しておきますね。主には、怒鳴る、理屈っぽい(1言うと10も20も返ってくる)、相手がもっとも落ち込むようなことを言ってくる、などです。さらにモラハラ夫はステータスがあり、「俺は外でしっかり働いて家族を養ってやっている」という考えを持っている場合が多いため、言うことを聞かないと生活費を減らすなど“経済的虐待”をしてくるのも特徴です。「お前は働いてないんだから」と、美容院や化粧品、洋服代といったオシャレ費用を出してくれなくなるパターンも多いですね。中には携帯電話を持たせてもらえず、お友達の名義を借りて契約したり、困ってパートに出たりしている妻もいましたよ。

こういった行為は、すべてモラハラとみなされます。ですから別れたいのであれば、できるだけ事細かに日記につけるようにしてください。夫からのメールや手紙で説教や暴言が届いているようであれば、捨てずに残しておきましょう。これは第三者に認められる有力な証拠となりますので。

さて、そのモラハラ夫との離婚ですが、モラハラ夫というのはお金にうるさいうえ世間体を気にする人が多いので、まず離婚に応じてくれない、というのが実情です。仮に離婚には応じたとしても、お金は出したがりません。ですから離婚手続きは、法律に則って粛々と進めるのが鉄則です。

ここで少し、法的な離婚手続きの段階についてご説明いたしますね。
離婚には、「協議離婚」、「調停離婚」、「裁判離婚」の3段階があります。双方が話し合って合意に至るのが「協議離婚」。話し合っても合意に至らなかった場合、家庭裁判所で第三者が間に入って話し合いを進めていくのが「調停離婚」。それでも合意に至らなかった場合は、裁判を起こして離婚を認めてもらう「裁判離婚」となります。
離婚をした夫婦の9割は「協議離婚」ですが、モラハラ夫の場合、「自分が正しい」と思っているので話し合いにならないことが多く、調停離婚に持ち込まれているケースは少なくありません。さらにモラハラ夫はお金と世間体を気にするので、「離婚するなら死んでやる!」とか「慰謝料を払うぐらいなら全財産を寄付する」などと言い出す人もいるのですよ。本当に、弁護士ですら話し合いにならないほどで、お互いの弁護士同士で何とか協議してようやく事が進む、というぐらい難しいのです。でもモラハラ夫はケチなので、なかなか弁護士をつけないのですが……。ですからアゲルちゃんさんも、直接の話し合いを避けられて調停に持ち込まれたほうが良いかと思います。

ただしモラハラを働く男性というのは、世間体や権力に弱い、というのも特徴です。ですから調停や裁判の場に出ると、途端に大人しくなることが多いのです。そういう意味では、威圧的な男性弁護士をつけて、協議してもらうのも一つの手かもしれません。ただそういったタイプの弁護士は、モラハラ夫と似ていて、依頼者にも威圧的な態度をとる可能性がありますので、そこは兼ね合いですが……。

ご心配の養育費の件ですが、調停に持ち込めば、夫の経済力に問題なければ、問題なくもらえますのでご安心ください。モラハラ夫というのは「俺はそんなに稼いでいない」などと抵抗する場合がありますので、事前に夫の源泉徴収票のコピーを取っていると、スムーズに手続きが進みます。源泉徴収票をとれない場合は、役所で課税証明書をとられると良いでしょう。こちらは夫と住民票が一緒でしたら、別居中でもとることができますよ。また「調停で支払額が決まっても、実際に払ってくれるだろうか?」というご心配があるかと思いますが、支払わなかった場合は裁判所に給料の差し押さえを申し立てれば、夫の会社から直接支払われますので、そこは安心してください。でもモラハラ夫というのは権力には弱いので、調停で決められれば、その後は意外ときちんと払ってくれるものです。ただ、これみよがしに「振り込んだから」と毎月連絡してくる夫も多いのですが……(苦笑)。

このように、モラハラ夫というのは離婚に対する抵抗が極端に激しいので、解決までには2、3年ほどかかる場合が多いものです。ですが、「前向きな人生を手に入れるためには仕方のない時間」と思って、粛々と手続きをしていただきたいと思います。

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PROFILE
  • 原口未緒(はらぐちみお)1975年生まれ。弁護士。学習院大学法学部卒業。2004年に弁護士登録。民事、商事、家事、刑事、倒産処理、債務整理など様々な案件を担当した後、2010年に「未緒法律事務所」を開所。夫婦、離婚案件を主に扱っている。法的な解決策を提案するだけでなく、コーチング、カウンセリング、セラピー手法を取り入れ、「心のケアもする弁護士」として人気がある。著書に『「この結婚もうムリ」と思ったら読む本 こじらせない離婚』(ダイヤモンド社)がある。自身は3度の離婚を経て、現在4度目の結婚をし、第一子をもうける。 この人の回答一覧を見る
  • 山本 奈緒子1972年生まれ。6年間の会社員生活を経て、フリーライターに。『with』や『VOCE』といった女性誌の他、週刊誌や新聞、WEBマガジンで、インタビュー、女性の生き方、また様々な流行事象分析など、主に“読み物”と言われる分野の記事を手掛ける。 この人の回答一覧を見る