新作が公開されるたびに必ずチェックしているソフィア・コッポラ監督の作品。最新作の『ビガイルド 欲望のめざめ』の舞台は、南北戦争の時代の森のなかの女子寄宿学園。
そこに傷ついた兵士がやってきたことで、女性たちの欲望が目覚めていくという物語です。園長に二コール・キッドマン、教師にキルスティン・ダンスト、生徒にエル・ファニングと年齢の違う女優が顔を揃え、ほとんど屋敷のなかだけの話とは信じられないほどスリリング!
抑えられていた欲望がぶわーっとあふれてくるようで、目が離せなくなっちゃいました。
なかでも二コールの美しさが際立っていて、人間味あふれる気丈な女の人の役がすっごく似合ってた!
『ドッグヴィル』は苦手だけど、『めぐりあう時間たち』は好き、という感じで作品によって印象が変わるんだけど、今回はすごくハマってる気がしました。
兵士を演じたコリン・ファレルも、この役にぴったり!
でも男として惹かれるかどうかは、あまりにも毛が濃すぎて私の守備範囲を超えているので、まったく判断できない……。ファンの方、ごめんなさい。
毛も存在感も濃すぎて最初はストーリーに入れなかったほど。でもだんだん目が慣れてきましたけどね(笑)。
この屋敷のなかで起きたことを最後まで見届けたとき、当たり前のことだけど男と女ってこんなにも価値観が違うものなんだなぁ、人の心理ってはかりしれないなぁってことを、あらためて感じました。
ソフィア・コッポラ監督は『ロスト・イン・トランスレーション』といい『マリー・アントワネット』といい人間の内面を描写するのが抜群にうまい!
心理をどこまでも深く掘り下げようという監督の欲と、監督の期待に応えて最後まで演じ切ってやろうという女優の欲が絡みあったからこそ、こんなにもスリリングな映画ができたんじゃないかな。
"欲"といってもソフィアはヘンな風に欲張らず、アレもコレもと迷わずに自分が描きたいと思うことにまっしぐらに進んでいく。
そんなお嬢様ならではの強さがあるのかも。弱い女たちを食ってやろうと思ったら、実は…・・・という物語を、最後までたっぷりと楽しみました。
"頭を使う女"と"体を使う男"の対決にも見えたんだけど、この映画、男の人が観たらどう思うんだろう!? 結構、ホラー!? 男性陣の感想がちょっと気になります(笑)。
ソフィアの映画らしく映像はとてもきれいで、フリルやレースの衣装もそれぞれにかわいかった!
アンティークを見るのが好きなので、ろうそくの灯りに包まれたグラスや食器にも目がいきました。映画館ではぜひそんなところも楽しんでみてくださいね。
『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』
1864年。南北戦争が暗い影を落とす、バージニア州の森の女子寄宿学園には、園長、教師、そして5人の生徒が暮らしていた。キノコ狩りをしていたエイミーは、傷を負った北軍兵士を発見し、手当をするため学園へ連れ帰ることに。招かざる敵兵の出現にはじめこそ戸惑うものの、キリスト教の教えに従い回復するまで面倒を見ることに……。男子禁制の女の園で、秩序を保ってきた集団の歯車が次第に狂っていく。2017年カンヌ国際映画祭の監督賞を今作で受賞したソフィア・コッポラ。女性としては史上2人目、なんと56年ぶりの快挙を成し遂げ、世界中から拍手喝采を浴びた。2月23日(金)TOHOシネマズ 六本木ヒルズほか全国公開。
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