いまは毎日しっかり働いていて、貯金もできるかぎりはやっている、という人でも、将来までずっと豊かに暮らしていけるのか、だれしも不安になるもの。
それなら、まずはお金が貯まる人の習慣を身に付けてみませんか? 5月に『定年後でもちゃっかり増えるお金術』(講談社)を刊行した消費経済ジャーナリストの松崎のり子さんが教えてくれました。
 

貯まっている家は「ものが少ない」という原則


雑誌編集者として節約達人の家を取材していたころ、気づいたことは、貯めている人の家にはものが少ないということです。リビングはすっきり広々、キッチンはまるでモデルルームのようにぴかぴかで、食器や鍋も表に出てはいません。これはある意味当然で、細々とものを買わないからこそ部屋は散らからず、そしてお金も残るというサイクル。さらに、一度すっきりきれいな状態の快適さを知ると、それをキープしたくなるものですから、むやみやたらに買い足すことはなくなります。お金ともののいい循環が生まれるというわけです。
とはいえ、持っているものを捨てるというのはハードルが高い人も多いと思うので、まずは不要なものをうっかり買ってしまうのを防ぐことから始めましょう。
すぐできることとしては、自宅の部屋の写真を撮ること。
各部屋の写真を撮ると、自分の目で見ている以上にどれほどのものがあるかが客観的にわかります。多くの人は、とてもすっきりとは言えない、という感想を持つのではないでしょうか。買い物をしたくなったら、その写真を眺めて、「どこに置く?」と自問してみるといいでしょうね。
さらに、バーゲン前におすすめしているのが、クローゼットを撮影すること。とにかく、貯まらない家のクローゼットはパンパンなのが常。雑誌編集者時代に「捨てられないものベスト5」というアンケートを取った時も、いつも上位に上がったのは洋服でした。一度買ったら最後、後々まで処分に悩む代表アイテムだからこそ、入り口を狭くするべきなのです。服を買いに出かける前にクローゼットやタンスをスマホで撮影して、いざ買いたいアイテムが見つかった時に写真を見直しましょう。すでに似たような服を持っていないか、いま買おうとしているアイテムは手持ちの服とあわせやすいのか確認できるので、無駄のない有意義な買い物ができます。
「クローゼットもタンスもぎっしりだから、スマホで撮影しただけじゃ何があるかわからない!」という人はラッキーです。一見して何があるか、自分でも把握できないほど、すでにたっぷり持っているのだとわかったのですからね。
次は、収納スペースを増やさないこと。
入れ物、つまり収納スペースがなければものは増やせない。まずは外置き型の収納ケースやボックスを買わないこと。現在の収納スペースで収まる量しか買えないとなると、自然に買い物に慎重になるはず。今後、冷蔵庫の買い替えを考えているなら、あえて少量サイズにするのも方法です。入れる場所が少ないと、かえって余計なものを買わなくて済むのですから。
子どもが小さい時に使っていた整理ダンスや、収納ケースがあるというなら、まずそれから処分するのもいいでしょう。

 

「割安」とは、ものを増やしてしまう危険ワード


よかれと思ってした結果、お金を貯まりにくくする買い物の仕方が「割安買い」。
コストコや業務用スーパーなどで大袋の商品を見ると、確かに一つ当たりの金額に直すと安いと思えます。でも、その量が必要かはまた別の話なのです。
そもそも、割安といっても、それがどの程度オトクかは一瞬ピンと来ないもの。大量になればなるほど、これは買いなのかそうでもないのかのジャッジは難しくなります。例えば、パスタ5キロ入りが870円という値段を見て、いつもの買い物よりどの程度安いのかを、すぐに計算できるかといえばどうでしょうか。
さらに、5キロも消費ができるのかという問題もあります。食べきれない量、使いきれない量を買うと、残念ながら廃棄したり、人にあげたりすることになり、結局払わなくていいお金を払っただけという結果になってしまいます。
また、日用品の大袋や大容量パッケージの場合、在庫があると気が緩み、人間はつい使いすぎてしまうことも。家に何十ロールもトイレットペーパーがあれば節約しようとはなかなか思えないもの。大量に買うと逆に消費するスピードが速まり、早くなくなってしまうとすれば、安く買った意味がないですよね。
また、大量買いをすると一度に支払う金額が大きいため、お金の管理がしにくくなるという問題も。この大量パックは、ひと月分のまとめ買いなのか、それとも数カ月これで持たせるのか、どこをどう節約すべきかわかりにくくなってしまうのです。
三世代家族や子どもが食べ盛りの家、はたまた来客がひっきりなしという家でない限り、割安だからと大量パックの買い物をするのは、得策とは言えないでしょう。特に、これからシニア生活に向けて生活自体をミニマムにしていこうと思うなら、多めよりも少なめを買い、その中で工夫するクセをつけたほうが将来のためになるのです。

 

ものが多いこと自体がストレスになる


ものが多すぎると、探し物がすぐに見つからない、掃除するのも片付けの手間がかかり面倒と、気持ちがイライラさせられますよね。
「断捨離」がブームになったのは、この家ストレスから解放されたいという切望もあったのではないかと思います。特に、シニア世代の関心が高いのは、年を取っていくとものの管理がおっくうになってくるからでしょう。
捨てるというアクションを妨げるのは、ものの要不要を判断するジャッジが難しいから。まだ使えるのに捨てるのはもったいない、親戚からのいただきものだし、思い出があるから捨てられない……と処分しないための言い訳はいくらでも思いつくのですが、捨てる理由はなかなかそうはいかないもの。他人から見るとゴミに見えても、本人には思い入れのある品であることも多いのですから。
ただ、年を重ねるごとに捨てるジャッジをすることも、実際に捨てるための手続きをすることもますます面倒になってきますから、子どもが独立して夫婦二人暮らしになったころには断捨離をスタートさせたいものです。
洋服が少なくなれば、クローゼットの見通しがよくなり、似たような服をうっかり買うことも防げます。買い足すならどんな服が必要かもわかります。リビングにあふれていたものを捨ててすっきりすれば、探し物のイライラも減るし、掃除もずいぶん楽になります。常に床にものがなければ、ロボット掃除機に任せることもできますね。
キッチンも断捨離できるでしょう。オーブントースターがなくてもガスコンロの魚焼きグリルでトーストを焼くことはできます。思い切って処分してしまえばオーブントースターの掃除も不要になります。やかんがなくても、マグカップを使って電子レンジでお湯を沸かすことはできるし、家族の人数が減れば大きな鍋も不要になります。食器も同様です。来客が少ないお宅には、多数のセット食器は不要でしょう。引き出物でいただいたような箱入りの食器が奥から出てくることがありますが、いままで使っていないものは、箱を開けずにリサイクルショップに引き取ってもらうといいですね。
家の中がすっきりすると、気持ちも晴れ晴れしてくるもの。一度ものを減らすことに成功すると、そのすっきり状態をキープしようと考えるので、買い物には慎重になります。本当に必要か、これはどんなシーンで使うのか、これがなくても代替えでなんとかならないか、とあれこれ吟味するので、衝動買いはがくんと減るでしょう。
家のものがどんどん減れば、大きな家からコンパクトな家に住みかえることも可能になります。大きさに比例して、家にかかる様々なコストも減らせることでしょう。物を減らせばイライラが減り、お金は増える。まさに勝手に貯まる家の出来上がりです。


松崎 のり子
消費経済ジャーナリスト。「ESSE」「レタスクラブ」等の生活情報誌の副編集長として20年以上、節約・マネー記事を担当。貯蓄成功のポイントは貯め方よりお金の使い癖にあると分析、その視点で多くの貯蓄達人を取材した経験から貯蓄・節約アドバイスを行う。雑誌やwebを中心に生活者目線で執筆中。
著書に『お金の常識が変わる 貯まる技術』(総合法令出版)、『「3足1000円」の靴下を買う人は一生お金が貯まらない』(講談社)。

 

『定年後でもちゃっかり増えるお金術』

松崎 のり子 著 1000円(税別) 講談社

「定年前から」始めておける、「定年後だから」できる、リタイア後の賢い貯蓄術!貧乏老後にならないためには必読の書!

 

●目次
【はじめに】
老後のお金の不安を消すシンプルな方法 など
【ウオーミングアップ 使いグセを棚卸しする】
老後の支出はいまの7割、収入は5割?/お金が漏れている、あなたの「使いグセ」の見つけ方 など
【ステップ1  勝手に貯まる生活に変える】
4つの「減らす」でお金は貯まる/「出」を減らす処方箋/「不満」を減らす処方箋/「モノ」を減らす処方箋/「自己負担」を減らす処方箋
【ステップ2  もらえるお金はきっちりもらう】
死ぬまでもらえるのが国の年金/公的年金でもらえるのは5000万円以上? /介護のお金は誰が出す? など
【ステップ3  お金持ちより“応”金持ちになる】
いくら貯めればいいかはこう考える/低金利時代の貯め方は、増やすより目減りさせないこと /金利より見るべきものは「非課税」のメリット など
【ステップ4 稼ぎ力を積み立てる】
働くことが一番の貯蓄術/お金を生み出すスキルや人脈を積み立てる/老後のためには出世しないほうがいい!?/住まう場所でお金の価値は変わる など

『定年後でもちゃっかり増えるお金術』のほか、料理、健康・美容など講談社くらしの本からの記事はこちらからも読むことができます。
講談社くらしの本はこちら>>

(この記事は2018年6月22日時点の情報です)
構成/庄山陽子 イラスト/ Shu-Thang Grafix

 

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